世界が注目した一戦は目の離せない技術戦を井上が制す――。2日夜、東京ドームのメインで行われた世界S・バンタム級タイトルマッチは、統一チャンピオン井上尚弥(大橋)が挑戦者中谷潤人(M.T)に3-0判定勝ち。統一王座の防衛に成功した。スコアは116-112、116-112、115-113。

中谷との高度な激闘を制した井上㊨
リングアナのマイケル・バッファーの紹介を受け、5万5千観衆が待つリングに先に中谷が入場。続いてギタリスト布袋寅泰の生演奏で井上が入ってきた。国家独唱を歌手の藤井フミヤが行い、打ち鳴らされた開始ゴング。
試合は激しいフェイントのかけあいでスタートした。サイズの大きな中谷の右ジャブ、低く沈むようにして放つ井上の左ボディージャブが応酬して、互いにリターンパンチも外しあう、緊迫感のある攻防に早くも喚声が上がる。
井上が上体でしきりにフェイントをかけ、中谷は前の手を触角のようにして、互いにクリーンヒットを許さないハイ・レベルな技術戦が続く。4回の中谷は鋭い左ストレートを狙うがミス。井上は左を差し込んで右ショートフックにつなげるなど、徐々にアクションが増えていく。5回、中谷が左ストレートを浅くヒット。続く6回もロングの距離からワンツーの左を届かせる。しかし井上も左を差して少しずつ距離を縮める丹念な作業を我慢強く続ける。ラウンド終盤に井上が攻め込むと中谷は右のアッパーを繰り出して応酬。
7回、今度は井上が攻めを強め、右ストレートをクリーンヒット。これはここまでで一番の印象的な一打に見えた。しかし8回、井上の攻撃から両者の攻防がヒートアップ。中谷も強打を連発して退かない。左から返す強振の右フックも威圧的だ。
そんな中でも、井上にパンチを見事にかわされて中谷は少年のように笑うなど、凄まじいテクニック戦を二人して楽しんでいるかのようだった。9回、井上が中谷の変則的なパンチを華麗にかわす。10回、偶然のバッティングで中谷は眉間の左側から出血した。
10回は中谷が押さえたが、11回、井上が反撃。アッパーから中谷の守りを固めさせ、さらに右を中心にした攻めで中谷にステップを強いる。大歓声で始まった最終ラウンドは、両者主武器のストレートを繰り出し、終了ゴングが鳴ると両者は抱き合って健闘をたたえ合い、大きな拍手が降り注いだ。

勝者井上は「今夜勝つのは僕ですという戦いを実行しました。本当に気持ちの強いファイターです。PFPランキングに入っている選手だからこそ、きょうの勝ちに価値があると思います」。そして満員の観衆に「またこの東京ドームに戻ってきますので、またこの景色を見せてください」と呼びかけ、喝さいを浴びた。「少し休んでから、また大橋会長と父と今後の対戦相手含め考えていきたい」とチャンピオンは語った。
井上の戦績は33勝27KO無敗。初黒星の中谷は32勝24KO1敗。


