March
29
Friday

ボクシングニュース | ボクシングビート編集部制作

share

20°C Clouds
Tokyo

Boxing News(ボクシングニュース)

Home > Match Information > 因縁の決着戦 カネロvs.ゴロフキン目前! 意地と誇りをかけた第3戦完全プレビュー

因縁の決着戦 カネロvs.ゴロフキン目前! 意地と誇りをかけた第3戦完全プレビュー

2022年9月16日 17時45分

 いよいよ因縁の決着戦は目前だ。サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)とゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の3度目の対決は9月17日(日本時間18日)ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われる。過去2戦とは異なり、今回はカネロの持つスーパーミドル級4王座が争われる。下馬評は前戦(ライトヘビー級)でドミトリー・ビボルに敗れたとはいえカネロが優位。日本にも多いゴロフキン・ファンは不安と期待の入り混じった気持ちで当日を迎えることだろう。ふたりの拳豪が意地と誇りをかけて激突する第3戦はいったいどんなファイトになるのか。そして結末は――? =ボクシング・ビート10月号より全文掲載=

 試合発表時点で3-1から4-1でカネロ有利だったオッズは、残り10日に迫った段階で5-1を超すまでに広がっている。

 予想がメキシカンに傾く最大の理由は第2戦後のアクティビティの差だろう。カネロは8度、ゴロフキンは4度と、単純にリングに上がった回数だけで倍も違う。しかもカネロはS・ミドル級4団体統一を達成し、L・ヘビー級王者となり、多くのメディアからパウンド・フォー・パウンド・キングに選定されるという揺るぎない実績を築いた。

 ゴロフキンはIBFミドル級王者に復帰し、最新戦で村田諒太を下してWBAスーパー王座を吸収したが、八面六臂の活躍をしたカネロに比べると陰に隠れた印象が拭えない。価値のあるレジュメ(履歴書)を残したカネロに対し、どうしてもゴロフキンは見劣りしてしまう。

 この間ゴロフキンがあまり試合をしなかったのはプロモーションの関係やコロナパンデミックの影響、そして2018年までコンスタントに活動したため意識的に体を休ませたとも受け取れる。それでも彼は40歳になり、ピークが過ぎ去ったことは否定できない。カネロと陣営がGGGの衰退を待って第3戦を締結したのも間違いないだろう。

 カネロにとって負の材料は最新のビボル戦の敗北だ。それまで無人の野を行く状態だったカネロだけにショックが大きかった。L・ヘビー級王座は以前にも獲っているが、体格のハンデが指摘され、洗練されたアウトボクサー(ビボル)に弱点をさらけ出した。そのフラストレーションを募らせているカネロが開始ゴングから一気に仕掛けるシナリオも想定される。

 ビボル戦で一発狙いで自滅したカネロは今回、上体を動かしながらコンビネーションを放って相手を崩す戦法に出るのではないか。もしゴロフキンが出遅れてしまうとカネロの思うツボという展開になるかもしれない。そうなるとゴロフキンも序盤からハイテンポな攻防に身を投じるだろう。あるいはビボルが実行したポイント奪取のボクシングを選択するのか。

 ただしゴロフキンとビボルは戦闘スタイルが異なる。より攻撃に比重を置くゴロフキンは、アウトボクシングのスキルも兼備しているものの、カネロが出てくれば、「待ってました」とフルスロットルで対抗するはずだ。第1戦のドロー、第2戦の2-0判定負けは“ラスベガス・デシジョン”に泣いたと言われるゴロフキンだけに「こちらは全ラウンド取るつもりで取り組む」(ジョナサン・バンクス・トレーナー)と気合いが入っている。

 そのバンクス・トレーナー(元ヘビー級ランカー)が著名トレーナーでアナリストのテディ・アトラス氏のポッドキャスト番組に出演。GGGの勝利のカギは「ジャブとカウンター対策」だと明言した。

 「カネロが第2戦である程度成功を収めたのは、ゴロフキンが一発しかジャブを繰り出さず、カネロの右カウンターを食らったことが原因だ。だから今回はダブル、トリプル・ジャブを出させてカネロのカウンターパンチの能力を封じたい」

 だがジャブを放っても的確さと威力がなければ無力になるのはボクシングの常識。ビボル戦で目が覚めてモチベーションがマックスに達しているカネロが、ハイペースの展開から得意のカウンターを打ち込み接戦から抜け出す確率のほうが高そうだ。カネロにはボディー攻撃という切り札もある。

 S・ミドル級初陣のゴロフキンは減量の心配がなく、逆に元々のパワーが生きるのではないかと指摘する関係者もいる。ゴロフキンは第3戦の時期を逸したことにはならないというのだ。年齢にしても、これだけ長きにわたりミドル級一筋でトップに君臨し続けるのは秘訣と地力があってのこと。貯蔵タンクには燃料がたくわえられている。

 それでも、ゴロフキンが勝利を引き寄せるためには、以前の2試合以上のデキと変化が求められるのではないだろうか。いかにジャッジに訴えるかという策も含めて。

 元4階級制覇王者のレジェンドで、最近ではメキシコのご意見番的な立場になっているフアン・マヌエル・マルケス氏は「ゴロフキンはスタイルを一朝一夕にチェンジできるタイプの選手ではない。それがカネロのアドバンテージになる」と同国メディアに発言している。そしてカネロの勝利とKO決着を予想している。

 以前はカネロに対して批判的な意見を述べることが多かったマルケス氏だが「ビボルに負けたことがケガの功名となった。それが調整段階でフィジカル面でもメンタル面でも有益に作用している」と分析。そして「第2戦のラスト3ラウンドでカネロはGGGのスタイルを分解した。どのように戦うべきかを頭に叩き込んだ。それを今回、実行に移せば勝てる」と太鼓判を押す。

 カネロにはビボル戦の汚名返上という目的があり、GGGはキャリアを懸けた一戦。ダウンシーン、劇的なフィナーレが期待できるメモリアルな闘いが待っている。

 カネロ-ゴロフキン直前情報は発売中のボクシング・ビート10月号に掲載しています。
こちらからもご購読できます→https://amzn.to/3daSwtL

Related article
関連記事