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6.13日本S・フライ級王座決定戦 待ちに待った川浦龍生 移籍初戦でブレークなるか

2023年6月6日 16時38分

 6月13日、後楽園ホールで行われる「ダイヤモンドグローブ」は興味深いサウスポー対決。ともにアマチュア経験があり、初のタイトル挑戦となる日本S・フライ級1位の川浦龍生(三迫/29歳、9勝6KO1敗)、2位の高山涼深(ワタナベ/26歳、5勝4KO無敗)が空位の王座を争う。

 両者は昨年12月に対戦が決まっていたが、高山の負傷で中止になり、川浦が2月に橋詰将義(角海老宝石)と決定戦を行うことになった。だが、これも直前の橋詰のケガで流れ、巡り巡って、もとのカードに収まった経緯がある。

 スピード、テクニックは川浦。パンチ力、メンタルの強さでは高山。両者は過去にスパーリングで手合わせしたことがあり、互いの印象は一致する。一撃のパワーで上回る高山に対し、川浦には一瞬を突くカウンターの鋭さがある。スリリングな試合になりそうだ。

 ようやく待望のタイトルマッチのリングに上がる川浦は、昨年10月に移籍した新天地で迎える初戦にもなる。「三迫ジムに行ったから、川浦は変わった、強くなったと言われるような動きを見せたい」と意気込む。アマチュア時代、徳島市立高、中央大を通じて全国大会での最高成績は3位。プロで世界王者となる井上尚弥(大橋)、寺地拳四朗(BMB)、谷口将隆(ワタナベ)に決勝進出を阻まれた。小学5年からボクシングを始めて初の日本一を足掛かりにさらに上を目指すと決意を新たにする。(取材/構成 船橋真二郎)

丸山トレーナーと話し合いながら練習を進める川浦

■どれだけできるのか、自分も楽しみ

――昨年12月に初のタイトルマッチが決まりながら、まさかの2度の中止で。ようやくですね。

川浦 そうですね。ほんとに。1度目は12月が中止になっての2月だったので、(延期は)2ヵ月だったから、別にいいかなというのもあったんですよ。このジムに来て、もう少し練習したい気持ちもあったので。

――1度目は試合の1ヵ月前。2度目は試合直前だったんですよね。

川浦 確か5日前ぐらいでしたね。体重もあと3キロぐらいまで落ちていて、タイトルマッチに向けて、練習もあと少し、踏ん張りどきだなと思って、ジムに来たら…。

――どんな気持ちでしたか。

川浦 「ああ、またか」って、最初は気持ち的に落ちましたけど、僕がケガしてチャンスがなくなったわけじゃないというのがあったので。でも、2月が6月になって、今度は4ヵ月じゃないですか。その分、練習ができて、もっと強くなれるので、それはいいんですけど、ちょっと空いちゃうから。

――どのように気持ちを切り替えて?

川浦 タイトルマッチに向けて、ずっと練習を続けてきたので、丸山(有二トレーナー)さんと話して、1週間だけ休みました。それから「4ヵ月後って言ったら、すぐだな、そんなに時間はないな」っていう気持ちで、また6月に向けてやってきた感じです。

――2月のタイトルマッチ前も話を聞かせていただいて、前の川島ジムの理解もあって、昨年の8月頃から練習に来た当初は三迫ジムの熱量に圧倒されたと。

川浦 そうですね。頑張ってついていかないとっていう感じでしたね(笑い)。

――それから月日を重ねて、その熱量にも馴染んできたのでは?

川浦 だいぶ馴染んできたんじゃないかなと思いますけどね。それに今まで12月、2月と(試合のタイミングが)ありましたけど、この6月に向けて、ここまでやってきたことが(動きに)表れてきて、一番いい感じだと思います。

――三迫(貴志)会長も丸山トレーナーも今が一番いいと。

川浦 どれだけできるのか、自分も楽しみです。

■高山はカウンターのタイミングを合わせやすい

――高山選手とはスパーリングをしたことがあるんですよね。

川浦 はい。何回ぐらいやったんですかね……10回ぐらいはやってるんじゃないですかね。

――サウスポー相手ということは(一昨年4月の)田之岡条(小熊)戦の前ですか。

川浦 あとサウスポーのフィリピン人と試合してるんですよ(2019年11月のジョイ・ジョイ・フォーメンテラ戦)。その前と田ノ岡選手との前、期間を置いて2度やってますね。合わせて10回ぐらいだと思います。

――そのときの印象は?

川浦 手を合わせてみて、試合も見て、パンチ力があるのと、あとは気持ち、気合いみたいなのを感じましたね。ごっついんで、やっぱりパワーはありますね。

――上半身がごっついですよね。

川浦 ごっついですね。それで(パンチを)振ってきますからね。注意するのは、そこですね。スピードとか技術、タイミングという部分では、僕のほうが勝ってると思うので、相手を調子づかせないようにして。

――川浦選手はカウンターが得意ですが、タイミングを合わせやすい、合わせにくい、スパーリングではどう感じましたか。

川浦 合わせやすいですね。ただ、どう合わせに行くかですね。変に合わせに行くと危ないですし、8オンスのグローブなんで、スパーとはまた全然違いますからね。イメージは持ちつつ、でも、それがすべてとは思わないで。実際に向かい合って、感覚を合わせてからですね。スパーはもう2年前なので、変わっているところもあると思いますし。ただ、自信は持っていきたいです。

――前と一番違うのが実戦練習の多さと言っていましたね。いろいろな相手と向き合うことでタイミング、感覚にも磨きがかけられているのではないですか。

川浦 そうですね。実戦(練習)はもう、マスも含めて、ありがたいぐらいやらせてもらって(笑い)。日々、いろんなタイプの選手とできて、いろんなタイミングを勉強できてると思います。

――橋詰選手もサウスポーで、対サウスポーという面でも、ずっとやり続けてきたわけですもんね。

川浦 そうですね。もちろん、基本は左ですけど、たまに右も入れながら。実戦をやるとやらないでは全然違うということを実感してますね。

左から山口、川浦、宝珠山の三迫勢

■絶対に勝つという気持ちを持って

――スパーリングパートナーは、ジムにS・フライ級、フライ級のサウスポーが3人いますが。

川浦 そうですね。中川(健太)さんは、相手が右になったので、まだ試合まで間があるときにやってくださって。基本は宝珠山(晃)くん、山口(仁也)くんがやってくれてる感じです。

――宝珠山選手も山口選手もアマチュア経験があって、プロでは全勝の勢いのある日本ランカーですしね。

川浦 山口くんは3月、宝珠山くんは4月に試合があって、試合が終わってからもすぐにやってくれてるので。ありがたいですね。その分も頑張らないといけないですね。

――一昨年12月以来、1年半、試合から遠ざかっていることになりますが、ずっと実戦練習をやり続けて、試合勘にも不安がないぐらいなのでは?

川浦 そうですね。でも、ほんとに久しぶりなので、応援してもらえる方に見てもらえるのは楽しみでもあるんですけど、やっぱり緊張もあります。

――前の試合が大阪だったから、後楽園ホールとなると田ノ岡戦以来なので、もっと前になりますね。大阪には行けなかったという方もいるでしょうし。

川浦 確かにそうですね。言われてみれば。自分では気がつかなかったですけど(笑い)、東京でやるとなると2年ちょい経ってるんですね。

――小学校5年生のとき、川浦選手自身は、最初は嫌だったということですが(笑い)、地元のチカミジム(アマチュア)に連れて行かれて、ボクシングを始めるきっかけをつくってくれた徳島のお父さんも楽しみにしているのではないですか。

川浦 楽しみにしてくれてると思います。2月のときは中止が5日前だったので、ホテルも飛行機も取ってるからって、そのまま来ましたね。母親と一緒に。母親は「(息子の試合は)見れない」って言うんですけど、今回もまた父親に連れて来られると思います(笑い)。

――前回、大阪での挑戦者決定戦で久高(寛之=仲里)選手に判定で負けて、プロ初黒星からの再起戦になります。ボクサーは、いくら時間が経とうと負けを引きずったままと聞きます。早く払拭したい気持ちも強いのでは?

川浦 負けて、もう2度と味わいたくないような嫌な気分になりましたし、言われたとおり、早く勝って払拭したいですね。

――久高戦で自分に足りなかったのは、勝ちに対する貪欲さと言っていました。タイトルマッチに向けて、そこを見つめる期間でもあったと思います。

川浦 絶対に勝つという気持ちを持って、毎日の練習に取り組んできましたし、辛いときは家族だったり、応援してくれている方たちのことを思い出してやってきました。このジムでしんどい練習をやってきて、体力も上がっていると感じます。

――週1回、中川選手と椎野(大輝)トレーナーのフィジカルトレーニングにも継続して取り組んできて。本格的なフィジカルは初めてということでしたが、期間が伸びた分、効果を感じるところもありますか。

川浦 スパーでも踏ん張りが利いて、より足腰が強くなったと感じますし、効果を実感してますね。

――中川選手はメンタルトレーニングにもなると(笑い)。

川浦 いや、なりますね。ほんとにしんどいんで(笑い)。ここでやってきたこと、すべてを自信にして、結果を出したいです。

■ボクシングキャリア初の日本一を

――最後は言い訳のできない環境で後悔なくやりきりたかったから、ジム移籍を決断したと言っていました。自分で環境を変えたからには、という気持ちも強いですよね。

川浦 そうですね。前も言ったかもしれないですけど、(環境が)変わっても結局、ダメだったなって言われたくないですし、チームにも迷惑をかけることになるので。三迫ジムに行ったから、川浦は変わった、強くなったと言われるような動きを見せたいです。

――どのような展開をイメージしていますか。

川浦 試合の展開として、みなさんが想像されるのは、僕が動いて、向こうが詰めてくる感じだと思うんですけど。まあ、そうさせたり、させなかったり、僕が前に出たり、下がったりとか、いろんなパターンを想定して、丸山さんと練習してきました。実際に向かい合ってみないと分からないところもあるので。

――試合に一緒に臨むのは初めてになりますが、丸山トレーナーとのコンビはいかがですか。

川浦 僕のことをよく考えてくれて、足りないところをはっきり指摘して、アドバイスしてくださるので、丸山さんの存在はすごくありがたいです。

――川浦選手のキャリアで、どんな意味のある試合だと考えていますか。

川浦 今までの僕のキャリアで一番大きな試合です。勝ったら先があるし、負けたら次があるか分からない状況になるので。この試合を組むにあたっては、三迫会長、久保(明子)マネジャー、いろんな方が尽力してくださっているので、この試合に絶対に勝つという気持ちでずっとやってきました。

――日本のベルトに対する思いは?

川浦 長い歴史があると思いますし、ランキングもしっかり管理されていて、価値のあるタイトルですよね。まずは日本チャンピオンですけど、この試合に勝たないことには次が見えてこないですし、小学校5年生からボクシングをやってきて、僕は今まで一度も日本一になったことがないので。やるしかないという気持ちです。

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