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“ピットブル”陥落、バレンスエラ殊勲 ヘビー級ホープのアンダーソンも苦杯 

2024年8月4日 15時45分

 クロフォードが4階級制覇に成功したイベントは、前座カードも好試合が多かった。WBA世界S・ライト級タイトルマッチは王者のイサック・クルス(メキシコ)が同級5位のホセ・バレンスエラJr(米)に12回判定負けを喫し、こちらも王座交代――。

◇WBA世界S・ライト級タイトルマッチ12回戦
ホセ・バレンスエラJr(米)[2-1(116-112×2、113-115)]イサック・クルス(メキシコ)

 ゴングと同時に王者クルスが前進、サウスポーのバレンスエラは右を出しながら距離をキープする。2回も開始直後にクルスはバレンスエラを押し込み、ボディーブローを混ぜながら前進。右が減って防御に時間を費やすバレンスエラ。

 その後はリング中央で戦いたいバレンスエラと、前にこそ出るもののなかなか決定打を打ち込めない王者という展開でラウンドが進行した。中盤はバレンスエラもジャブ、左アッパーなどで対抗。9回中盤、王者の右フックがローブローとなりコリヤンテス主審は中断。

 王者が攻めあぐね、バレンスエラのアウトボクシングにポイントが流れていく印象の終盤も展開は変わらない。攻めが単調で一発の破壊力はない王者は11回、12回と攻勢を強めるが、決定打を見舞うことはできなかった。

 不利予想を覆した25歳のバレンスエラは14勝9KO2敗。同級の暫定王者には9月に来日予定のイスマエル・バロッソ(ベネズエラ)が在位している。26歳のクルスは26勝18KO3敗1分となり、ロリー・ロメロ(米)から奪った王座を防衛することなく手放した。

◇ヘビー級12回戦
アンディ・ルイス(米)[引き分け(112-116、114-114×2)]ジャレル・ミラー(米)

 両者ゆっくりとした動きから初回終了間際にルイスの左フックが浅くヒット。2回はミラーの右フックがヒットと、近い距離での攻防でラウンドが進んだ。徐々に前に出るミラーが手数で押し、5回はボディーを中心に攻め上げる。対するルイスはロープ際を回りながら左右フックを軸に対抗するものの手数が増えない。

 中盤はルイスに疲労がうかがえ、有効打こそ少ないものの前に出るミラーがポイントを引き寄せている印象。9回、ミラーがコーナーに詰めて右アッパーをヒットするとルイスのアゴが上がる。10回はルイスも終了間際に連打で意地を見せるなど、混戦のまま迎えた最終回は展開に大きな変化がなかった。

 アンソニー・ジョシュア(英)に雪辱を許して以降、これで3戦2勝1分の34歳ルイスは35勝22KO2敗1分。やや不運な判定の印象もある36歳ミラーは26勝22KO1敗2分。ダニエル・デュボア(英)に初黒星を喫してから約8ヵ月での再起戦を勝利で飾れなかった。

◇WBOインターナショナル&NABF北米ヘビー級タイトルマッチ12回戦
マーティン・バコーレ(コンゴ)[KO5回2分7秒]ジャレッド・アンダーソン(米)

 新鋭アンダーソンにとって注目のテストマッチ。初回からスイッチを見せるアンダーソンに対し、バコーレはゆっくりとしたモーションからパンチを繰り出すと、終了間際に右アッパーをクリーンヒットし、アンダーソンがダウン。カントゥ・レフェリーのカウントをフラつきながら聞いたアンダーソンは再開に応じたところでゴングに助けられた。

 2回、ジャブから立て直しを図るアンダーソンは再び右アッパーを食いながらも頑張りを見せ、3回は再びスイッチ。しかし中盤にバコーレの連打を浴びるなど流れを変えることはできない。

 バコーレはいきなりの右やショートの右フックも巧みで、アンダーソンのスイッチを苦にする様子はない。迎えた5回、左アッパーをアゴに食ったアンダーソンが2度目のダウン。再開直後、連打から右ストレートを浴びたアンダーソンは背中から倒れる。ここも立ちあがったがロープ際で連打を浴びたところでレフェリーストップとなった。

 2本のベルトを手にした32歳のバコーレは21勝16KO1敗。WBA1位、WBC6位、IBF14位、WBO12位にいる。一方、ワンサイドで初黒星を喫した24歳のアンダーソンは17勝15KO1敗。こちらも世界4団体でランキングされているが、世界戦線からは一歩後退。

◇WBA世界L・ヘビー級王座決定12回戦
デビッド・モレル(キューバ)[3-0(118-110、117-111×2)]ラディボエ・カラジッチ(セルビア)

 サウスポーのモレルに対し、カラジッチは左手が前に出しながら探る静かな初回。インターバルでロニー・シールズ・トレーナーの指示が入り、2回のモレルはプレスを強化。ラウンド終盤、いい右ボディーを見せたモレルはその後も手数の攻勢でポイントを奪う。

 カラジッチは慎重に距離を図りながらモレルの入り際に右フックを狙うものの、ペースを変えるほどの攻勢を見せられない。ヤマ場のない展開で迎えた8回、モレルの右フックがカラジッチの側頭部にヒットするとカラジッチは体をよろめかせる。

 9回終盤、カラジッチはコンパクトなアッパーなど反撃を見せ、10回もペースダウンしたモレルに手数で攻める。11回は開始からモレルがペースアップしたが、終盤にカラジッチの右ストレートで顔を跳ね上げられた。予想以上に競った試合となった。

 S・ミドル級ではサウル・アルバレス(メキシコ)がスーパー王座に在位する中でレギュラー王者として戦ったモレル。今度のL・ヘビー級ではスーパー王者にビボルが長くおり、レギュラー王座獲得の評価は分かれるところ。ビッグイベントのメイン格へ進出するには対戦相手を含めてもう少しアピールが必要か。26歳のモレルは11勝9KO、敗れた33歳のカラジッチは29勝21KO4敗。

◇IBFインターナショナル&WBAコンチネンタル・ラテン・ライト級タイトルマッチ10回戦
アンディ・クルス(キューバ)[KO7回2分59秒]アントニオ・モラン(メキシコ)

 上背で劣るクルスはジャブに定評のあるホープ。開始からややガードの低いモランの打ち終わりや、合間を縫ってコンパクトなパンチを入れていく。経験豊富なモランもじりじり前に出てプレスを掛けながら上下に打ち分けるが、なかなか有効打を入れられない。

 しかし4回、左アッパーをヒットしたモランが攻勢を強めて前に出ると終盤には左フックを好打し、クルスの膝が揺れる。5回、流れを引き戻そうとクルスはていねいに距離を取りながら戦うものの、6回に右を浴びて再び足元がおぼつかなくなった。

 迎えた7回、立て直しを図るクルスのジャブでモランが足を滑らせる。クルスは終了間際に肩越しの右を好打し、モランがロープ際に後退したところへ右フックをヒット。モランはよろよろと青コーナー前にもたれかかり、ホワイト主審がダウンを宣告する。ふらつきながらカウントを聞くモランでしたが、ダメージは深く、ニュートラルコーナーへ倒れ込み、ストップとなった。

 世界4団体でランク入りしている28歳のクルスはプロ転向後4戦全勝2KO。耐久性が気になるところではあった。敗れた31歳のモランは30勝21KO7敗1分。

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