24日、亀田－ドゥラミニ戦と同じリングで行われた52.5キロ契約10回戦。世界ランカー同士の一戦は、WBOバンタム級11位の健文トーレス(TMK)が、接戦の末WBO・S・フライ級1位のKJ・カタラハ(フィリピン)に96-93、96-93、94-95の2-1判定で勝利。前戦で敵地に乗り込み、元WBCバンタム級暫定王者レイマート・ガバリョ(フィリピン)を初回で粉砕した試合に続き、金星を挙げた。

　かつて、井上尚弥のスパーリングパートナーとして来日。フィリピンで強化合宿を行ってきた日本人選手たちもその強さに舌を巻き、「強い」という評判がすっかり浸透していたカタラハは、同僚ガバリョを倒したトーレスをかなり警戒していたのだろう。基本的には下がりながら誘い、手を出させてかわし、カウンターを狙う戦法。トーレスもそのカウンターを意識して、丁寧に距離を詰めていく展開となった。機を見て飛び込み、連打を仕掛けていくが、カタラハの防御がうまく、両腕に阻まれてしまった。

　打ち終わりをコツコツと捕らえられるトーレスは、打つ間合いを微妙に外されるフラストレーションも重なって、再三にわたり、ノーガード状態を演出してカタラハを逆に誘う。が、カタラハはそれには乗らず、タイミングをずらして左フック、右ストレート、かぶせるような右をヒットした。4回終了ゴング直後に、カタラハは右ストレートを決めてトーレスを倒すが、これは5回開始と同時にゴング後の加撃として訂正され、逆にカタラハに減点1が課せられた。

　その5回、両者の頭がぶつかってカタラハが左目上をカットし出血すると、カタラハの戦いぶりはさらに距離を取ったボクシングに入っていく。前に出て攻めるがクリーンヒットを奪えないトーレス、一方ややもすると消極的と見えるが、リターンブローやカウンターをヒットさせるカタラハという構図がくっきりと表れた。

　　7回、カタラハは左フックを合わせ、前に出てくるトーレスに右カウンター。一瞬腰を落としかけたトーレスだったがダウンは回避。最終8回のラスト、トーレスは力を振り絞って攻めまくるが、カタラハをはっきりと捕まえることはできなかった。

　カタラハが仕掛け続ける駆け引きに、完全には飲み込まれずに、攻める姿勢を見せ続けたトーレス。ポイントを取っていると計算しただろうカタラハは、出血にナーバスになりすぎる一面も見せ、明確な攻勢を仕掛けることがなかった。採点は際どかった。トーレスは15勝10KO5敗。初黒星のカタラハは17勝13KO1敗。

　また日本ユース・フライ級王者で日本同級8位の野上翔(RK蒲田)は、OPBF東洋太平洋S・フライ級15位のダンリック・スマボン(フィリピン)とS.フライ級8回戦を行い、ジャッジ三者が80-72とフルマークをつける3?0判定勝利。戦績を4勝3KO無敗とした。

　サウスポーの野上は、前の手となる右腕で、インサイドに突くジャブ、上下動させてスマボンの目を惑わせるなど多彩に使い、切れ味鋭い左ストレートを上下に突き刺し、それを意識させると右フックをつないでスマボンをコントロール。いきなり打ち込む右や、野上の左に合わせた右を狙うスマボンだったが、野上は上体を常に左右、上下に動かして的を絞らせず、またステップバックやターンで間合いを切り、まったくヒットを許さなかった。

　安定したスタンス、それをキープする股関節の強さ、柔らかさが際立ち、どんな体勢になってもバランスが崩れない。だから攻防の切り替えをリズミカルにスムーズにできるのだろう。一方的なポイントリードに、さらにその先を行くストップ勝ちを求める声も上がるだろうが、このスタイルをしっかりとベースに植えつけていれば、倒すタイミングもいずれつかめるはずだ。強打の持ち味を完全に切られたスマボンは13勝9KO5敗1分となった。

◆ミドル級6回戦
佐々木る玖(KWORLD3)[判定3-0(58-55、58-55、59-54)]大島光容(尼崎亀谷)

◆60.0kg契約8回戦
伊集院嵐(KWORLD3)[判定3-0(77-75、78-74、79-73)]ペン ファン(中国)

◆S・ライト級6回戦
宮川竜成(尼崎亀谷)[判定3-0(59-55、59-55、59-55)]シュアイ ウー(中国)

◆58.0kg契約4回戦
佐藤陽太(LUSH緑)[負傷引分2回2分22秒]阿部樹(changes)