アマ世界選手権金メダリストの坪井智也がA級プロテストに合格 3.13両国で8回戦デビューを予定
2025年2月6日 16時47分
2025年2月6日 9時50分
2月11日に東京・後楽園ホールで開催される「ダイヤモンドグローブ」のメインイベントはアジア2冠戦。東洋太平洋&WBOアジアパシフィック・S・ライト級王者の永田大士(ながた・だいし、三迫/35歳、20勝6KO3敗2分)が星大翔(DANGAN/26歳、7勝3KO3敗4分)を挑戦者に迎え、両王座とも2度目の防衛戦に臨む。
永田は昨年2月、当時のWBOアジアパシフィック同級王者、井上浩樹(大橋)との2冠統一戦を激闘の末に2-0の判定で制して以来、1年ぶりの国内リング登場になる。
同6月に韓国でWBOアジアパシフィック王座の初防衛に成功後、井上戦の前から痛みを抱えていた右手のTFCC(三角線維軟骨複合体)損傷が判明。それでも「悔いを残したくない」と治療と並行し、できる練習を続けて現在は完治。WBO15位にも顔を出すサウスポーのファイターは「永田大士らしくガンガン行く」と宣言する。
この1月12日で35歳になった。「気がついたら、終わりが見えてきた」と現役終盤を意識するようになり、「一日一日を噛みしめるように。大切に練習してきた」という。日章学園高、自衛隊体育学校でアマチュアキャリアを重ね、右ヒジのケガなどで退校。陸上自衛隊練馬駐屯地に勤務しながら、個人参加でアマの大会に出ていた23歳から三迫ジムに在籍した生え抜きで、今や最古参。後輩たちに「背中で見せ続けたい」と力を込める。
トリッキーなところもある技巧派の星に対し、「動きが読めない。今までの選手で一番警戒している」と気を引き締める。昨年7月、第一子となる長男が誕生。「物心つくまで活躍したい」という思いも新たな原動力になっている。かねて希望する海外進出は「次の試合をクリアしないことには何も始まらない」といったん胸にしまい、目の前の一戦に集中する。
永田の加藤健太トレーナーは寺地拳四朗(BMB)、星の石原雄太トレーナーは堤聖也(角海老宝石)、ともに現役世界王者を指導し、世界戦の経験も豊富。両参謀が授ける対策もカギを握るかもしれない。(取材/構成 船橋真二郎)
■ケガもなんの。悔いを残したくないと練習
――2025年最初の試合です。どんな1年にしていきたいと考えていますか。
永田 いつまでも日本でやっててもチャンスはつかめないと思うんで。(海外に)出たいな、というのが自分の大きな目標なんですけど。今は次の目の前の試合がすべてであって、次の試合をクリアしないことには何も始まらないので。先のことは何も考えてないです。
――とはいえ、海外で試合をしたいという希望はずっと口にしてきて、そこを見据えての試合ではある。
永田 簡単に言ったら、終わりが見えてきたんで。これまでは終わりなんて関係なしにガムシャラにやってきたんですけど。
――この1月12日で35歳。現役生活も長いわけではないと。
永田 そうですね。だから、いつまでも国内でやって、海外に出ていけないのは心残りでしかないと思うんですけど、まずは次の試合をクリアすることに集中して。
――いずれにしても、ここからの1試合1試合が大事ですね。
永田 はい。ほんとに大切です。
――去年は井上浩樹選手との2冠統一戦に始まり、6月に韓国で試合をして。どんな1年になりましたか。
永田 なんか去年っていう感じがしないんですよ。前半に試合が集中しての、後半はずっと次の試合に向けて、常に練習し続けていた感じなんで。休めないですね。悔いを残したくないんで。それが今も続いてる感じです。
――休んでいられない。
永田 はい。休むようにって、めっちゃ言われるんですけど、休めないです。休んで何かを失うぐらいなら、休まずに失ってしまったほうがいい、ぐらいの勢いですね。
――いやいや(笑い)。オーバーワークにならないように。
永田 なんなら、前々回もオーバーワークで、しかもケガの状態でやったんですよ。
――前々回というと井上浩樹戦ですか。
永田 はい。で、韓国の試合が終わってから、ケガに気がついた、という。
――そういえば、いつか医者に行って初めてケガが分かったと話してましたね。こんな状態でよくやってたね、と言われたと。左手でしたか。
永田 右手首ですね。TFCC損傷というらしいんですけど。なんか軟骨組織がぐちゃぐちゃになってたらしいっす。でも、痛いな、ぐらいで、ごまかし、ごまかし、ずっとやってました(笑い)。
――その状態で2試合ということですか。
永田 そうです、そうです。なんなら、韓国では最後のラウンド、その右でダウンを取りましたからね。
――確かにカウンターのジャブで倒しましたよね。
永田 あとあと自信になりましたね。あれが。あ、オレ、ケガでも、何でも行けるんだ、と思って。
――無理はしないように(笑い)。ずっと練習も続けていたわけですね。
永田 はい。(医者に)どうせ、動くんでしょ? と言われて、テーピングを教わって。あとは理学療法士の先生に見てもらいながら。後悔したくないんで。
――今はもう。
永田 完治してます。いい方向でケガと向き合いながら、練習できましたね。
■より強い気持ちをつくるために
――次の試合、挑戦者の星選手ですけど、どういう相手として見ていますか。
永田 うーん……。警戒してますね。今までの選手で一番警戒してます。
――どこが今までの相手と違うと感じるところですか。
永田 向こうの動きが読めないですね。つかめないというか。
――L字で構えたり、少しトリッキーというか、独特なところもありますよね。
永田 まあ、その動きもですし、あとは石原トレーナーとタッグで来るんで。何してくるんだろうな、とか思いながら。あとは彼、カフェバーをやってるんですよね?
――あ、そうなんですか。取材不足で。
永田 らしいっすよ。去年の秋にオープンしたのかな。まあ、変わってるんだろうな、と思って。だから、何を考えてるのか読めないですね。
――そういうところも含めて、読めないということですね。
永田 はい。そういう読めない相手だからこそ、警戒しないといけないわけじゃないですか。あとは、彼にとっては2回目のチャンスが来たわけなんで、そういう思いに気持ちで負けたくない、というのが一番強いですね。だから、永田大士らしくガンガン行きます。
――まあ、カフェバーをやっていることとか、思うところがあるのは何となく伝わってきます。
永田 もう、単純に永田大士のボクシングでガンガン行くだけです。ということにしておきます(笑い)。
――なるほど(笑い)。
永田 あと試合当日は(昨年2月に)星選手に負けた兒玉(麗司=三迫)が応援に来てくれるんですよ。だから、見せたいという気持ちもあります。一応、先輩なんで(笑い)。
――いや、一応というか、ジムもだし、高校の先輩でもありますよね(笑い)。では、後輩が負けた相手という気持ちも持って。
永田 そうですね。それは自分の勝手な解釈ですけどね。ただ単に挑戦者と思って、王者として迎え撃つだけじゃなくて、いろんな思いが入ってたほうが、より強い気持ちをつくれるじゃないですか。
――いろいろなことを、意識して力に変えて。どういう試合になるとイメージして、と聞いても同じなのかな(笑い)。
永田 はい(笑い)。永田大士らしく、ガンガン突き進んで、攻めていきます。
■自分にできることを突き詰めて
――それでも、前までは距離が詰まり過ぎたり、上体が突っ込み過ぎたりするところがあったのが、最近の試合ではスタンスを狭くしたり、細かくステップを踏んだり、自分なりの間合いの取り方をつかんできた印象を受けますが。
永田 いや、まだまだですよ。取り方があるんだなって、気づいたぐらいで。満足はしてないです。
――いろいろ試行錯誤しながら。
永田 まあ、試行錯誤はしてますけどね。でも、最近はムダなことはしないようにはなってきてますね。年を重ねて。
――自分にできることを突き詰めるような。
永田 そうですね。できることを突き詰めて、徹底してやる感じで。
――年齢的にできないことに時間をかけるのはもったいない。
永田 その危機感はあるかもしれないです。前までは、いや、これができるかもしれないとか、いろいろつまみ食いしてた感じなんですけど。今は、これしかできないぐらいの感じで。
――つまみ食いといえば、ゴルフ、レスリング、柔道、総合格闘技。いろいろやりましたね(笑い)。
永田 まあ、あんまりやり過ぎると加藤さんに言われるんで(笑い)。でも、僕のボクシングの根本というか、こうしていきたいというのが見えてきましたし、あとは、僕がジムに入ってからなので長いんですけど、やっと加藤さんの考えてくれたことが分かってきたんで。それでも、試合で自分が関係ないことをやっちゃうから。加藤さんの意見、指導をできるだけ頭に入れて、そういう自分を抑えつつですね。
――初の海外遠征でしたが、韓国での試合はどんな経験になりましたか。
永田 思ってた以上にアウェー感がなかったんで、何とも言えないですけど。すごく集中できて、味方陣営の声だけ入ってくるんで。(海外は)向いてるな、とは思いました。
――理解できる言語だけ入ってくるような(笑い)。
永田 そうですね。ほかの声はシャットダウンみたいな。気にならなかったですし、チーム三迫が団結してサポートしてくれたのが心強くて。それが一番の武器になったかもしれないです。後輩の宝珠山(晃)が同行してくれたり、今までで一番、チーム感を感じたというか。みんなで食事をしたり、そういう雰囲気も楽しめたんで。新鮮でよかったです。
――今までロサンゼルス合宿に何度も行ったり、一昨年にはドイツで試合の話があったのが実現に至らなかったりしたこともありました。いずれは、ということですよね。
永田 はい。でも、まずは次の試合です。
■ジムのトップとして、父親として
――年齢的には出田(裕一)選手、中川(健太)選手、まだ上の選手がいますが、在籍年数では最古参になって。ジムには今年、チャンピオンカーニバルに出場する選手も4人いるし(出田、川満俊輝、渡来美響、山口仁也)、ジムのトップのひとりとして、見せたい気持ちもあるのではないですか。
永田 見せたいですね。試合もそうですし、練習とか、私生活とか、日常でも背中で後輩たちに見せ続けたいですね。一番大切なのはそこだと思うので。
――週1回の朝のラントレでは、永田選手がメニューを考えたり、みんなを引っ張ってくれていると以前、川満選手が話していました。
永田 はい。少しでも後ろ向きな姿勢は見せたくないですし、試合前の選手に話を聞いて、どういう感じにしようとか、僕から積極的に。
――終わりが見えてきた、ということでしたが、そういう姿をまだまだ後輩に見せ続けるためにも。
永田 そうですね。あと去年の7月に息子が生まれたんですよ。やっぱり、子どもが物心つくまで思い切りボクサーとして活躍したいな、という気持ちが出てきましたし、それが大きなモチベーション、原動力になってます。
――なおさら勝ち続けていかないといけないですね。
永田 はい。まあ、終わりが見えてきたといっても、自分の中では終わりがあることを自覚しないといけないということなんで。だからこそ、一日一日を噛みしめるように。大切に練習してきました。ずっとできることではないんで、今しかできない、という意識を持ってやっていきたいと思います。
2025年3月12日 9時48分
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