7日、元東洋太平洋・日本ライト級王者で世界に4度挑戦した坂本博之さん(現・SRSジム会長)が発足した「こころの青空基金」に、古巣の角海老宝石ジムが今年の「七夕募金」を寄付。東京・大塚のジムで贈呈式が行なわれ、元WBA世界ライト級王者の小堀佑介会長、元IBF世界S・バンタム級王者の小國以載、日本S・バンタム級王者の池側純、日本S・ライト級王者の川村英吉が集まった111万1111円を坂本さんに託した。《船橋真二郎》

小堀会長から坂本会長に「七夕募金」の目録が手渡された
これは角海老宝石ジムが「七夕募金」として募金活動を行ない、児童養護施設で育った坂本さんが全国各地の施設で暮らす子どもたちを支援する活動に協力してきた毎年恒例のもの。今年は去る5月29日、後楽園ホールで興行開催時に募金を呼びかけたときの23万8500円と合わせ、昨年の57万5534円を大幅に上回った。
「こころの青空基金」は坂本さんが現役当時の2000年10月11日にWBA世界ライト級王者・畑山隆則への挑戦が決まった際の発表記者会見で協力を呼びかけ、同年7月7日の七夕の日に「パソコン(インターネット)を通して、子どもたちが自分たちの夢、やりたいことの視野を広げてくれたら」と集まった約20台のパソコンを出身の『和白青松園』に寄贈したのが始まりという。やがて活動を全国に広げるなかで「夢を追いかけることのすばらしさを子どもたちに伝えたい」という思いは一貫して変わらない。
坂本さんによると子どもたちが児童養護施設に入る理由の6割以上を児童虐待が占めるという。坂本さん自身もそうだったが、人のことを信用できない、心を開けない、そんな子どもたちと「ボクシングセッション」と命名した1対1のミット打ちで向き合ってきた。
「君たちのこれまで生きてきた人生で一番嬉しかったこと、一番悲しかったこと、一番怒ったこと、そういう思いを拳に乗せて、僕たちのミットめがけて、思い切り打ってこい」
満面に笑みを浮かべて打ってくる子、眉間にしわを寄せて怒りを込めて打ってくる子、涙をうっすら浮かべて打ってくる子、一人ひとりの感情を受け止めたうえで語りかける。「たしかに君たちを傷つけたのは大人、人かもしれない。でも、その傷ついた気持ちを受け止めてあげるのも大人、人なんだよ」。熱を持って接すれば、熱を持って返ってくるんだよ、と。

児童養護施設のテレビでボクシング中継を見たことをきっかけに「夢を持って生きてきたからこそ、いろんな人たちの“愛”を知った」と坂本さんは振り返る。最終的に世界チャンピオンという夢は叶わなかったが、引退のとき、「こんなにも涙してくれる人たちがいる」「こんなにも拍手してくれる人がいる」、その姿を見て、「俺のボクシング生活、失敗じゃなかった、大成功だったんだ」と笑顔でリングを降りることができた。
「夢を追いかけて、一生懸命やれば、失敗という二文字はないよ、夢を追いかけることで学ぶことがあるよ」。この自分の経験、思いを同じ境遇の子どもたちに伝え続けていきたいという。
角海老宝石ジムは今後も自主興行のなかで募金活動を行なうなど、「七夕募金」を継続する。集まった基金は「ボクシングセッション」を通して、感情を発散すること、気持ちをぶつけることを覚えた子どもたちがいつでも使えるように、と訪問した児童養護施設にミットとグローブを寄贈するなど、全国各地をまわる坂本さんの活動資金にあてられる。


