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“キングストンの惨劇”から50年 若きフォアマンがフレージャーから衝撃的なヘビー級王座奪取

2023年1月22日 9時55分

 いまからちょうど50年前の1973年1月22日、カリブ海に浮かぶジャマイカの首都キングストンで行われたWBA・WBC世界ヘビー級タイトルマッチで、挑戦者ジョージ・フォアマン(米)が王者ジョー・フレージャー(米)に2回2分26秒TKO勝利を飾った。無敵とみられたフレージャーを豪腕で一蹴したワンサイドゲームは“キングストンの惨劇”として語り継がれている。

若き日のジョージ・フォアマン

 68年メキシコオリンピック金メダリストのフォアマンはこのとき25歳。プロに転向してからは自慢の豪腕で37戦全勝34KOという驚異的なレコードを築いていた。一方、64年東京オリンピック金メダリストの29歳、フレージャーは小柄ながら“スモーキン・ジョー”の異名そのままにグイグイと前に出るボクシングで29戦全勝25KOとこちらも無敗。王者として円熟期を迎えていた

 ともに金メダリスト、全勝同士の激突とはいえ、予想はフレージャーの有利だった。なぜなら戦ってきた相手、キャリアが大きく違っていた。フォアマンはまだビッグネームとの対戦がなかったが、フレージャーは数々の強豪を倒し、何より71年3月、元王者モハメド・アリ(米)にキャリア初黒星をなすりつけた記憶は人々の脳裏に鮮明に残っていた。

 ところが予想は裏切られた。フォアマンが初回、重いジャブでフレージャーの前進を止めると、右アッパーをボディに浴びせて王者をひるませ、右フックを振り下ろしてダウンを奪ったのだ。立ち上がったフレージャーに対し、フォアマンは容赦なく右アッパー、右ストレートを浴びせて2つのダウンを追加した。

 勢いに乗るフォアマンは2回、パワフルな右フック、左フックでさらにフレージャーを2度、キャンバスに突き落とす。フレージャーは気力を振り絞って立ち上がったものの主審はストップを宣告。ナショナルスタジアムの特設屋外リングに集まった4万人の大観衆が沸きに沸いた。

ジョー・フレージャー

 この勝利でフレージャーやアリと肩を並べた形のフォアマンは翌年アリに逆転KO負けするが、その後もフレージャーとの再戦に勝利、現役引退、復帰、王座返り咲きと大河ドラマのようなキャリアを描くことになる。フレージャーに勝利したとき、まさか21年後に45歳で王座に返り咲くとは、本人も予想すらしていなかったことだろう。

 ボクシング史に偉大な足跡を残した“レジェンド”フォアマンのキャリアを振り返るとき、初めて世界タイトルを獲得したフレージャー戦をベストバウトに推す声は多い。あのフレージャーが何度もキャンバスに崩れ落ちたのだ。衝撃的な出世試合だった。

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