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井上拓真のボクシング研究 戦ってみてわかるモンスター弟の強さと課題とは

2023年5月17日 16時12分

 リボリオ・ソリス(ベネズエラ)とのテクニック戦を制し、念願のバンタム級正規王座を獲った井上拓真(大橋)。兄尚弥を筆頭に多士済々の大橋ジムでも大橋秀行会長が「一番安心して見ていられる」というディフェンス力の一方、かねて課題は攻撃面をいかに発揮できるかであるのは自他ともに認めるところ――と、ひと口に言っても、真の力がはっきり認識されているとは言い難い。実際にグローブを交わした選手や関係者の証言を基に、拓真のボクシングを深く味わってみよう。《文:本間暁/ボクシング・ビート6月号より》

 井上兄弟をひと言で表せば? こう問われたほぼ全員がきっと「尚弥は強い」「拓真は巧い」と口を揃えるはずだ。

 相手を一撃で確実に仕留めるパンチングパワー。強打を連打して打ち倒す獰猛さ……。防御も含め、極めてハイレベルな技術がもちろんあってこそだが、尚弥の場合はどうしても“モンスター”な攻撃力に目が行ってしまうのは致し方ないところ。

 弟・拓真はどうか。きっと大半の人が「尚弥との比較」からスタートし、攻撃力を比べ、「ディフェンスはいいんだけど攻撃が……」となる。そうして「強い」ではなく「巧い」に落ち着く。では、そもそも拓真の「ディフェンス」とは、「巧さ」とはなんだろう。案外、ここを追求されるとはっきりと答えられない。大方「スピードが速い」ということでお茶を濁す。尚弥の強さを「パンチが強い」のたった6文字で表してしまうのと同様。だが、これではあまりに大雑把すぎる。

 防御が巧いとは──。わかりやすいのは、ウィービング、ダッキング、スウェーバックなどのボディワーク。かつての名選手、“アンタッチャブル”川島郭志が得意とした技術で、相手の攻撃を、上体を大きく動かしてはっきりとかわすもの。ボクシングを見慣れてない人でもわかりやすく、川島の場合は「KOで終わるなんてもったいない。フルラウンド見ていたい」と思わせた。ちなみに川島は、もらっているようで顔を背けてパンチを流す「スリッピングアウェイ」の名手でもあった。

 しかし、現代ボクシングは「ボディワーク」よりも、腕や肩で止めるブロッキングやグローブで叩き落とすパリング、グローブで受け止めるストッピングなど、極力小さな動きでかわすことが主流となっている。ボクシングが高速化したこと、コンビネーションが多様化し、ボディワークでは追いつかない等がその理由と考えられる。「ボディワークは疲れる」と書くと横着に思えるが、「スタミナの無駄遣いを防ぐ」とすれば聞こえはいいかもしれない。きっとこれも一因だろう。

 ロープを背負い、ソリスや古橋岳也の連打を拓真はこれらの防御テクを使ってかわしていた。攻められていて危うく見えたかもしれないが、拓真の場合、あえて自らこの場を選択。そうしてカウンターを打ちこむ隙を狙っていた。戦術として相手を呼び込む。主体はあくまでも拓真自身。圧力を受けてロープを背負わされる者と区別せねばならない。..

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