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生中継のWOWOWが独占インタビュー

井上尚弥がヘビー級とロマチェンコに注目!
生中継のWOWOWが独占インタビュー

2018年11月30日 10時25分

 アメリカの老舗専門誌「リングマガジン」の表紙デビューも決定したWBA世界バンタム級王者“モンスター”井上尚弥(25=大橋)にWOWOWが単独インタビューを敢行。WOWOWで日本時間 12月2日に放送されるWBC世界ヘビー級タイトルマッチ、デオンテイ・ワイルダー(33=アメリカ)vsタイソン・フューリー(30=イギリス、さらに 同12月9日のワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)vsホセ・ペドラサ(29=プエルトリコ)戦の展望を聞いた。

(C) NAOKI FUKUDA

ヘビー級? タイソンの戦い方は参考になる

──井上選手はヘビー級というと、どんなイメージを持っていますか。

井上 迫力、パワー、派手なKO……2メートルを超えるような大きな男たちが戦うわけで、軽量級にはない倒し方などが見られますよね。たとえばロープにもたれこむようなクリンチであったとしても迫力があるじゃないですか。そういうところがヘビー級の魅力だと思います。

──ヘビー級と聞いて真っ先に誰をイメージしますか。

井上 マイク・タイソンですね。もちろんライブでは見ていませんが、映像で見てもすごいスピードですよね。体の大きな相手にスピードを生かして潜り込む、そしてワンパンチで倒してしまう。これから僕も階級を上げていった場合、踏み込みのスピードは重要になってくるはずなんです。僕はバンタム級でも大きい方ではないので、S・バンタム級、フェザー級と上げていく場合、相手はもっと大きくなる。そう考えると、角度、頭の位置、踏み込みなどタイソンの戦い方は参考になりますね。

パワー型のワイルダー、頭脳派のフューリー

──さて、12月2日にアメリカのロサンゼルスで行われるWBCヘビー級タイトルマッチです。王者のワイルダーについてはどんな印象を持っていますか。

井上 たくさん映像を見ているわけではないですが……とにかくパンチを当てて倒してしまうという印象ですね。攻撃はシンプルだと思います。特に右ストレートは強そうですね。

──40戦全勝(39KO)という戦績もインパクトがあります。

井上 すごいですよね。戦績もヘビー級ならではですね。

──井上選手の17戦全勝(15KO)も驚異的です。

井上 僕なんかまだまだですよ。これから階級を上げていけば判定が続くかもしれないし。

──そのワイルダーが迎えるフューリーは構えを左右に変えるスイッチ・ヒッターで、戦績は 27 戦全勝(19KO)です。

井上 フューリーは頭脳的な技巧派なんでしょう? ヘビー級では珍しいですよね。パワー型のワイルダーと頭脳派のフューリー。興味深い組み合わせだと思います。加えてふたりとも2メートル以上ですからね(ワイルダーは身長 201 センチ/リーチ 211 センチ、フューリーは 206 センチ/216 センチ)。

──注目ポイントはどこでしょうか。

井上 ワイルダーのパワー、フューリーの頭脳、どちらが上回るかという点でしょう。

──ずばり、どちらが勝つと思いますか。

井上 う~ん……ワイルダー、かな。

ロマチェンコ?「もうロボットですよ」

──日本時間12月9日にはライト級の王座統一戦、WBA王者ワシル・ロマチェンコ(12戦 11勝9KO1敗)とWBO王者ホセ・ペドラサ(26 戦25勝12KO1敗)がアメリカのニューヨークで対戦します。ロマチェンコはアマチュア時代にオリンピックと世界選手権を連覇、戦績は397戦396勝1敗です。

井上 オリンピックと世界選手権を連覇するなんて、本当にすごいことですよ。(アマチュアの)戦績もヤバいでしょう(笑)。アマチュアボクシングは3分×3ラウンドですからね。それであの戦績でしょう。もうロボットですよ。

(C) NAOKI FUKUDA

──井上選手はアマチュア時代、国際大会の現場でロマチェンコの試合を見たことがありますか。 井上 あります。ロンドン・オリンピックの前の世界選手権(2011 年)でしたが、アディダス社製の大きなグローブなのにボディブローで倒していました。それほどパンチのタイミングがいいわけで、当時から目立っていました。

──ロマチェンコも3階級制覇を成し遂げています。

井上 ボクシングは基本的には殴り合いなんですが、ロマチェンコはそれをゲーム感覚でやっている印象ですね。僕のなかではアマチュアの練習で採り入れているタッチゲーム(相手の肩や膝などをタッチしてポイントを取る)のイメージが強いんです。

どの角度からもパンチを当てるゲーム

──それでも8連続KO勝ち中です。

井上 ロマチェンコはパンチが強いわけではなく、タイミングがいいんです。倒すというよりも、どの角度からもパンチを当てるゲームの印象ですね。タッチゲームに耐え切れずに相手がギブアップする感じ。相手は挽回できないと諦めるんでしょう。

──今年5月のホルヘ・リナレス(33=帝拳)戦は見ましたか。

井上 いい試合でしたよね。ロマチェンコの気の強さが見えた試合でした。技術はある、スタミナもある、そして精神力も強い。ロマチェンコは完璧でしょう。6回にダウンを喫したけれど(ダメージが)足にきている感じではありませんでした。

──身長170センチ、リーチ166センチ。ライト級では小柄ですよね。

井上 パワーで勝ち上がってきた選手は(階級を上げると)体重の壁に当たるけれど、ロマチェンコは技術で上がってきているので階級(体重)の壁を感じないんだと思います。

(C) NAOKI FUKUDA

──そのロマチェンコがスイッチ・ヒッターのペドラサと対戦します。このペドラサもアマチュア時代に08年北京オリンピックに出場(ライト級初戦敗退)、09年の世界選手権では準優勝しています。

井上 でも、パワー型ではないですよね。そうなると体格では上回っていてもロマチェンコに勝つのは難しいでしょう。ただ、スイッチ・ヒッターは読めないところがあるので、やりにくいのは事実です。反面、慣れてくると崩されやすいというマイナス面もあるんです。結局、パターンは同じなので、ロマチェンコはすぐに読んでしまうと思います。ペドラサも戦っていてイヤになってしまうんじゃないですかね。

条件が合えば?「もちろん戦ってみたいです」

――もしも体重や条件が合えばロマチェンコと戦いと思いますか。

井上 もちろん戦ってみたいですね。ロマチェンコのスタイルはだいたい分かっているので、それをイメージしてリングに入って、あとはその場の感覚で戦ってどこまで対応できるかということになると思います。

 WOWOWでは「エキサイトマッチスペシャル ヘビー級全勝決戦! ワイルダーvsフューリー」を12月2日(日)午後0時から生中継。12月9日(日)午後0時からの「エキサイトマッチスペシャル ボクシング史上最高傑作 ロマチェンコ統一戦!」は元3階級制覇王者の長谷川穂積さんがゲスト解説を務める。

 また12月1日(土)には、「最強ボクサー激突! 12月2週連続ビッグマッチ完全ガイド」と題し、午後6時30分からWOWOW プライムで特別番組を無料放送。井上尚弥選手や山中慎介さんらのインタビューを交えながら、注目ファイト2試合のみどころを紹介する。

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