尾川堅一vs.西谷和宏 世界ランカー対決10.2に延期
2020年8月13日 20時30分
2020年8月13日 14時03分
世界タイトルマッチのリングでチャンピオンをダウンさせたとき、挑戦者の胸の内はどんなものなのだろう。ある者は勝利を確信し、またある者は舞い上がって逆に戦いのプランが狂うことも……。ここで紹介するのは、惜しくもベルトをつかみ取ることはできなかったものの、一度は強豪王者を倒して世界王座に接近した“決定的瞬間”を経験した元選手たち――。=ボクシング・ビート9月号より=
2014年暮れの世界戦ラッシュといえば、井上尚弥の衝撃が真っ先に思い起こされる。オマール・ナルバエスを倒しまくり、モンスターぶりを世界中にアピールした。これに匹敵する、いやひょっとしたらサプライズ度では上を行っていたのが大阪の世界S・バンタム級タイトルマッチだ。チャンピオン、ギジェルモ・リゴンドウに日本の天笠尚が挑んだ一戦。
この試合は何といってもリゴンドウが大物すぎた。キューバの五輪2大会連続金メダリスト。プロではノニト・ドネアを下して不敗で統一王座に君臨していた。日本人ボクサーの挑戦を受けるために来日したチャンピオンの中でも掛け値なしの世界的強豪である。
「99パーセント勝ち目はない」
戦前、こんな絶望的なことを率直に語ったのは他ならぬ天笠だった。これから戦う本人が公言していたのだ。ミスマッチを懸念されたのも無理からぬことだが、試合は挑戦者の大健闘。特にスーパー王者を2度もキャンバスに這わせたシーンは驚天動地だった。
「大前提として、リゴンドウは舐めているはず。たしかにアマチュアの最高峰ですが、僕は自分が変則型で、変則的なタイミングで打てることも理解していた。そういう意味でチャンスはあると考えていました」(天笠さん)
開始ゴングが鳴って天笠は大胆にも強く攻めた。理由は2つある。最初に強打をかます戦略的な意図と、もう一つ、周囲への反駁の意味が大きかったかもしれない。
戦う前から「最初は脚を使って、離れて」としきりに念押しされた。ひとたまりもなく1ラウンドで倒されては困るからだが、打たれ強さにひそかな自信を持つ挑戦者のプライドは傷ついた。
「早く終わるとテレビとしてはまずいから、皆そう言うんですよ。きっとリゴンドウも『最初は行かないで』と言われてたと思いますよ。そういうのもイラっと来ていました。だから僕は全然ビビってないぞ、そう簡単に終わらないぞと示したかった」(天笠さん)
攻めてみて逆にリゴンドウの打ち返すパンチの強さが分かった。なるほど、下手に行くとまずいと理解した。中でも踏み込んで放つボディーストレートの衝撃はすさまじく、「この舞台でボディーでは倒れたくない」と最悪の展開すら頭によぎったという。
当てられない王者に当てた7ラウンドの興奮、今になって残る一つの悔い……“1パーセントの勝ち目”に賭けた当時を天笠さん本人がじっくりと振り返る。天笠さんのほか矢尾板貞雄、坂本博之両氏の場合も――特集「世界に手が届きかけたわが“決定的瞬間”」全文は発売中のボクシング・ビート9月号に掲載しています。アマゾンでもご購入いただけます→https://amzn.to/2Px7iLV
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