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井上尚弥が標的ロマゴンを語る、3.19WOWOW解説

2017年3月6日 22時03分

 WBC世界S・フライ級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア=帝拳)が3月18日(日本時間19日)、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで元王者シーサケット・ソールンビサイ(タイ)の挑戦を受ける。ゴンサレスとの対戦が期待されるWBO同級王者、井上尚弥(大橋)にWOWOWが独占インタビューを行った。

年間表彰式に出席した井上

■「ゴンサレスはすべての面でずば抜けている」

――3月19日にゴンサレスとシーサケットが戦います
 最初、ゴンサレスは前王者のカルロス・クアドラス(メキシコ)と戦うのではないかと聞いていましたが、シーサケットになったんですね。シーケットは攻撃型の選手なので楽しみです。

――井上選手は昨年9月、ゴンサレスがクアドラスに判定勝ちを収めた試合をアメリカまで視察に行きましたが、そのときの感想を聞かせてください。
 ゴンサレスは確かに強いことは強い。でも、S・フライ級に上げて以前のようなパワーを感じなかったことも事実です。クアドラスが耐えてしまったということもあると思いますが、L・フライ級やフライ級時代、相手が耐えきれなくなってしまったことがいっぱいあったのに、それは感じられませんでした。

――ゴンサレスのストロング・ポイントはどこだと思いますか。
 総合的にすべての面でずば抜けていると思うし、欠けているものはないと思います。特に優れているのはコンビネーションを打つ際、すべてのパンチを強く打って的確に当てていく点ですね。

――同じボクサーとして見て、それは難しいことなのでしょうか。
 難しいですね。体幹が強くないと全部のパンチを繋げながら強くは打てないんです。下半身と上半身のブレが出てくるとワン、ツー、スリーまでは打ててもそこから先は打てないんです。

――井上選手はどうでしょうか?
 自分はゴンサレスほどにはできていないけれど、コンビネーションに関してはタイプが違うので。ああいうコンビネーションの攻撃はしないけれど、でも、やろうとしても難しいでしょうね。

――S・フライ級にしてはゴンサレスは体のサイズ(身長160センチ、リーチ163センチ ※井上は164センチ、172センチ)が小さいのでは。
 どうなんでしょうね……でも、小さい選手はたくさんいるし、問題は戦闘スタイルだと思います。パワー型の選手が体重(階級)を上げていくことは難しいんです。テクニック重視の選手は体重を上げてもパワー勝負を避けてテクニックで勝負するけれど、正面衝突のパワー勝負でやってきた選手が3階級、4階級上げるとパワーの点で壁にぶつかる。事実、S・フライ級でクアドラスがゴンサレスのパンチに耐えてしまったわけですから。

井上は昨年暮れ、元王者の河野を寄せ付けなかった

■「12月に対戦できれば嬉しい」

――では、シーサケットのことはどう見ていますか。
 ずっとS・フライ級で戦っているし、パンチ力もありますね。ファイターに近いタイプだと思います。

――ゴンサレス対シーサケット、どんな試合になりそうですか。
 良い意味でも悪い意味でも噛み合うので、スリリングな試合になるでしょう。ふたりとも好戦的なので、倒れる可能性はどちらにもあると思います。7対3ぐらいでゴンサレスが有利だとは思いますが、何が起こるか分からない。ゴンサレスにとってもリスクのある試合だと思います。

――ゴンサレスがKO勝ちするとしたら、どんな展開でしょうか。
 ボディを攻めるなどガツガツいって、中盤から終盤に倒すのでは。

――逆に番狂わせが起こるとしたら。
 ゴンサレスが負けるとしたら一発を食った場合しかないでしょう。攻めて攻めて、コンビネーションを打っているときに食う不意の一発が怖いですね。

――井上選手自身、近い将来に彼らと戦う可能性があるわけですが、ゴンサレス、シーサケット、そして井上選手の3人を強い順に並べるとしたらどんな順番になりますか。
 僕が一番ということはないですね。現時点ではゴンサレスを自分よりも上には見ているけれど、戦うとなったら五分五分と考えます。自分の方が抜きん出ている点も分かっているし、ゴンサレスの方が勝っている部分も分かっているし。そこを見たうえで五分五分だなと。

――井上選手が考える、それぞれのアドバンテージ部分とは。
 ゴンサレスが僕よりも上回っているのはキャリア、コンビネーションを強く打てる持続力、それにスタミナもありますね。自分はスピード、一発のパンチ力では上だと思います。実際には戦ってみないと分からないけれど。

――そういう勝負は怖いのでは?
怖さはないですね。むしろ楽しみです。リスクは高いけれど、やる価値があると思います。S・フライ級のチャンピオン同士として勝負したい。勝っても負けても得るものが大きいと思うので。12月に戦えればいいですね。

――海外で戦う可能性もあるのでは?
 タイミングが合えば海外でも戦ってみたいですね。どこでもいいですよ。ニカラグアですか? 食事の調整が難しいかな(笑)。

――ゴンサレスは「試合が実現するなら井上選手の自宅でもいい」と言っていました。
 僕の家? いいですねぇ、最高じゃないですか(笑)。

 この日はゴンサレスの試合のほか、ミドル級3団体統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)がWBA正規王者ダニエル・ジェイコブス(米)を迎えて防衛戦を行う。試合の模様はWOWOWライブで19日午前10時から生中継。ミドル級で世界を目指す村田諒太(帝拳)が井上と一緒に解説を務める。

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