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S・フライ級挑戦者は山口仁也 重里侃太朗と引き分け勝者扱い

2024年11月1日 1時48分

 31日、東京・後楽園ホールで行われた日本S・フライ級最強挑戦者決定8回戦は、1位・重里侃太朗(じゅうり・かんたろう、志成)と2位・山口仁也(やまぐち・じんや、三迫)が終始ものすごい手数を出し合い最終ゴングを聞く大熱戦。判定は1—1(77—75、75—77、76—76)と決着のつかないドローとなったが、引き分けとしたジャッジが優勢点を与えた山口が、来年のチャンピオンカーニバル出場を決めた。

熱闘の末引き分けた山口㊨と重里

 サウスポー同士の戦いは、右のトリプルからスッと体を寄せて左右ボディーを突き刺した重里が初回に先制。だが、2回に入ると山口主導の接近戦に重里が応じ、めまぐるしい攻防に突入した。重里は山口の入り際に左カウンターを狙い、4回には山口をグラつかせたものの、接近戦になると山口の回転力が上回った。右フックと左アッパーのボディーブローは再三にわたり的を捕らえ、重里を苦しめた。さらには左アッパーをアゴに突き刺す位置取りも巧みだった。

 執拗な山口の接近に対し、重里は決して退かなかった。距離を取って引けば、山口の勢いが増すと踏んでのことだろう。体で止めて押していき、気力を振り絞っての連打を返す。強打で跳ね返したいという力みから空振りもあったが、ガードにかかりながらもねじ込む気迫は山口を時に押し戻しもした。

 左ストレート、右フックの交錯が何度も生じる一進一退の攻防。スリリングな瞬間と手数の出し合いは最後の最後まで続き、場内に熱気を生んだ。

 接近戦の巧さもさることながら、その距離に入るまでの工夫もあった山口が優勢点を得て日本王座挑戦権を獲得。「次は勝ちという形でチャンピオンになりたい」と決意を語った。6勝2KO。惜しくも挑戦権を逃した重里は7勝(2KO)2分。近い将来、再び両者が相まみえる日が来るだろう。

2戦連続初回KO勝ちの吉良

 セミファイナルのフライ級8回戦は、WBA15位の吉良大弥(きら・だいや、志成)がベネズエラ同級4位オルランド・ピノを初回1分19秒KO。6月のプロデビュー戦に続き、2戦連続初回KO勝ちをマークした。

 すり足と柔らかい上体の動き。その中で、相手の呼吸をずらして読みづらいタイミングから左を上下に差した吉良は、フットワークを使うピノに対し、サイドへの最短移動でついていき右ショートから左ボディー。これが急所を捕らえると、ピノは一瞬間を置いてキャンバスに落ち、苦悶の表情を浮かべながら10カウントを聞いた。15勝9KO3敗。

 プロデビュー戦でいきなり世界ランク入りを果たしていた吉良。連続初回KO勝利とド派手なスタートだが、今後は長いラウンドの経験も重要になってくるはずだ。

 元WBOアジアパシフィック・フェザー級、OPBF・S・フェザー級王者で現OPBF同級11位の森武蔵(志成)が昨年6月以来の実戦(ライト級8回戦)に臨み、ファン・ペン(中国)をジャッジ三者とも79—72とつける3—0負傷判定勝ち(8回58秒)をした。

 開始早々、前足(右足)を踏まれてロックされ、左右を浴びてフラついた森。その後もファンの“足踏み”を食らわされたものの、4回あたりからスッと下がって右サイドへ回り込む動きを取り入れて、猪突猛進のファンをいなす様相も見せた。

 が、左アッパーのカウンターをボディーに定め、これを再三決めていた森は、正面で迎え打ちたい意識が強かったのだろう。踏み込むタイミングから遅れてくる右を受けることもしばしば。また、打つと上体が突っ込むファンに頭を追撃されて、6回に唇をカット、7回には右額を切ってしまい、それぞれ出血(ファンは7回に減点1)。8回にドクターチェック後、続行不能となった。

 森のサウスポースタイルに苦手意識があったと見えたファンは、どうにも距離が合わずに足と頭で対策を練ったのだろう。とても「偶然」とは言えない頻度だったが、森は足を踏ませず、頭も食らわない足運びをできる選手。久々の実戦ということや印象的な勝ち方をしたい思いもあっただろうが、避けられる負傷は負いたくなかった。森は15勝7KO1敗1分。ファンは10勝5KO10敗3分。

◆71.0kg契約6回戦
緑川創(EBISU K’s BOX)[58—56、59—55、60—54]ワン・ダソン(中国)

◆54.5kg契約4回戦
中田雅大(秩父)[TKO3回1分39秒]増本雄大(ミサイル工藤)

◆バンタム級4回戦
手島和樹(ミサイル工藤)[TKO2回53秒]山本晃弘(秩父)

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