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中嶋一輝、辰吉寿以輝を撃沈 セムジュは小畑をくだす

2024年12月13日 0時12分

 話題沸騰の一戦は、衝撃的な結末に──。12日、東京・後楽園ホールで行われた注目のOPBF東洋太平洋S・バンタム級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの中嶋一輝(なかじま・かずき、大橋)が挑戦者同級6位の辰吉寿以輝(たつよし・じゅいき、大阪帝拳)に2回2分13秒TKO勝ち。2度目の防衛を飾った。

辰吉を沈めた中嶋

 ものの見事な中嶋のワンパンチKOだった。2回、左ストレートを立て続けにヒットしたサウスポーの王者がススっと下がる。ここぞとばかりにじりじりと前に出ようとした辰吉が、得意の左フックを打とうとした刹那、中嶋の左がやや外側から巻き込むようにして辰吉のアゴを打ち抜いた。この一撃を浴びた辰吉は、そのまま背中からキャンバスに倒れ込んで大の字に。レフェリーがノーカウントで試合を止める痛烈なダウンだった。

 小刻みに上下に跳ね、右腕を前方に大きく突き出して懐を深く取る中嶋が、目には見えない圧を辰吉にかけていた。辰吉は中嶋の左に対し、右をリターンするが遅れをとる。懐が深く距離も遠いため、右ストレートのボディーブローもミートしない。逆に中嶋は左ストレートを上下に突き刺すものの、辰吉が得意とする至近距離を徹底的に回避。落ち着いて繊細に距離をキープして、追い足を欠く辰吉に間合いを渡さなかった。

「最後は振ったパンチがたまたま当たっただけ」と表情を崩さず語った中嶋だが、辰吉を完全に誘い込んで決めた技。強打にこだわるあまり、冷静さを欠いて墓穴を掘った一時期のスタイル一転、今年の3戦でアマチュア時代に築いたボクシングとの融合が見事に成った。「ここは通過点。世界に向けて頑張っていきます」と力強く宣言した中嶋は17勝(14KO)2敗1分。ダメージが深く、担架で退場した辰吉だが深刻なダメージではなく周囲をホッとさせている。16勝(10KO)1敗1分。

小畑をヒットするセムジュ㊧

 セミファイナルで行われた日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンのセムジュ・デビッド(中日)が元暫定王者で挑戦者1位・小畑武尊(こばた・たける、ダッシュ東保)を3-0(97-93、98-92、98-92)の判定で破り、初防衛に成功した。

 やまない手数とコツコツと空いた箇所をヒットしていく巧さ。東京五輪ウガンダ代表からプロ入りしたセムジュが、派手さはないものの堅実なボクシングで大差判定勝ちした。
 サウスポーの小畑に対し、各ラウンドが始まるやいなや距離を詰めて先攻めをする。常に小畑を下がらせてロープを背負わせ連打。小畑も上体をよく振ってかわす場面もあったが、コンパクトに上下左右に散らすセムジュの攻撃を次第に防げなくなっていった。

 ハードヒットはさせず、ダメージも見られなかった小畑は、左ボディーアッパーや右フックをヒットさせてセムジュの攻撃を寸断しにかかった。が、常に体を押し込まれていた小畑のブローはウェイトが乗らず、セムジュの連打を切ることがどうしてもできなかった。

 中盤以降、セムジュは右アッパーでボディーを何度も襲い、小畑のスタミナを奪い始めるが、自身同様に上体を柔らかく使い、のらりくらりとかわす小畑に手を焼いていたのもたしかだった。

 スタミナを奪われて動きが止まり始めた小畑をセムジュは何度か仕留めにかかったが、小畑も反撃の手を止めず、さすがのセムジュにも打ち疲れが見え始めた。そして最終回、ようやく前に出た小畑の左ストレートがヒットすると、セムジュにはっきりとダメージが見えた。

 大逆転のチャンスだったが、疲労極まった小畑は攻めきれず、セムジュがダメージをごまかす距離潰しの技術も見せて試合終了。悔しさはあるものの、清々しさも感じさせた小畑に対し、対照的に疲れた表情を見せるセムジュが印象的だった。セムジュの戦績は7勝(4KO)1敗。小畑は14勝(6KO)7敗1分。

 日本ユースS・バンタム級王座決定8回戦は、昨年度全日本新人王の武藤涼太(松田)が山﨑裕生(やまさき・ゆうせい、大橋)に6回1分46秒TKO。23歳以下で争われる王座を獲得した。

 山﨑が左を上下に差して右アッパーでボディーを狙えば、サウスポーの武藤が左ストレートをヒット。2回、山﨑が右ボディーアッパー2発を打つと、武藤が右フックをリターン。これでガクっと腰を落としかけた山﨑に、武藤が攻め手を強めて連打。ロープ際でストップ寸前の状態までに追い込んだ。

 辛くも難を逃れた山﨑は、距離を詰めて左右アッパーを見せるが、武藤は落ち着いて距離を取って左ストレート、オーバーハンドを決めて山﨑にダメージを与える。3回に鼻血を流した山﨑は右ボディーアッパーを主体に反撃を計るが、武藤はタイムリーな右フック、長短織り交ぜた左ストレートをクリーンヒット。6回、武藤は小刻みなステップでリズムを作ると、冷静に間合いを詰めて左ボディーアッパーと左ストレートを狙い打ち。反応できなくなった山﨑を見て、レフェリーが試合を止めた。

 クリンチ際や回り込んだ際の隙をしっかりと捕らえる抜け目のなさも光った19歳の武藤は7勝(5KO)1敗1分。初黒星の山﨑は4勝(4KO)1敗。

 大橋ジムのホープ衆の1人、田中将吾(大橋)が51.5kg契約8回戦でナッツァポン・マノノム(タイ)を2回1分53秒TKOに下した。

 長身のナッツァポンに対し、開始から勢いよく攻め込んだ田中は、初回に早くも左ボディーでダウンを奪い、なおも攻めまくる。田中の入り際に右アッパーを狙うナッツァポンは、右腕でボディーをカバーするが、田中は右のオーバーハンドから左をサイドボディーに差して圧倒。2回、連打して跪かせるとレフェリーが試合を止めた。22歳の田中は2勝1KO。19歳のナッツァポンは3勝3KO2敗となった。

◆ウェルター級6回戦

山本諒真(DANGAN)[TKO2回終了]チェ・テワン(韓国)

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