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カミソリ海老原、沖縄の剛腕 浜田&平仲

衝撃の1ラウンドKO特集 歓喜の「王座奪取編1」 
カミソリ海老原、沖縄の剛腕 浜田&平仲

2020年5月30日 10時36分

 ノックアウトは言うまでもなくボクシングの醍醐味だ。それも1ラウンドKOともなればインパクトは絶大である。「衝撃の1ラウンドKO特集」の第1回は王座奪取編。歴代の日本人選手の世界タイトルマッチ初回KOを追う。第1回は「王座奪取編」のパート1だ。

ポーンをカミソリパンチで沈めた海老原

 日本人選手として初めて世界タイトルマッチの初回KO劇をやったのけたのは“カミソリパンチ”が代名詞のサウスポー、海老原博幸である。1961年から3年に渡り29連勝をマークした海老原が世界戦の舞台に立ったのは63年9月18日の東京体育館だった。

 ファイティング原田に世界フライ級王座を奪われたポーンが原田からタイトルを奪い返し、迎えたのが海老原戦。海老原は得意の左ストレートでポーンをキャンバスに2度転がし、初回2分7秒KOで世界王座に就いたのだ。

 この一戦をジャッジとして見守ったリング誌の創設者、ナット・フライシャー氏は「フライ級ボクサーのパンチとは思えない」と海老原のカミソリパンチに驚嘆したのは有名な話である。

 次の初回KO奪取は1986年の浜田剛史まで23年の時を待たねばならなかった。その強打から15連続KO勝利の日本記録をマークしていた浜田は4度の拳骨折という苦難を乗り越え、同年7月24日、両国国技館にWBC世界J・ウェルター級王者レネ・アルレドンド(メキシコ)を迎えた。

浜田の王座奪取。KOタイムは1ラウンド3分9秒だった

 サウスポーの浜田は初回終盤、王者をコーナーに追い詰めると連打で猛攻。ラウンド終了間際にアルレドンドのアゴを打ち抜くと、崩れ落ちた王者は立ち上がれずに10カウント。両国に座布団が舞う中、ぼう然とした様子で笑顔を見せない浜田の姿が印象的だった。

 鮮やかな速攻だったが、最初から速攻を考えていたわけではなかったという。浜田はのちにこう語っている。

「アルレドンドのパンチは、グローブの中に石でも入れているような硬さだった。これは長引いてはこっちが持たないと、すぐに作戦を切り替えたのです」。

観客の声援にこたえる浜田

 浜田の沖縄の後輩で、沖縄のジムから世界を目指したのが平仲明信だ。メキシコシティでWBA世界J・ウェルター級王者エドゥイン・ロサリオ(プエルトリコ)に挑んだのは92年4月10日のことだった。

 平仲は3年前にイタリアで世界初挑戦し、ファン・マルチン・コッジから2度ダウンを奪うも判定で敗れ、大いに悔しい思いをした。今回こそは絶対にKOでベルトを奪ってやる。そんな気持ちが試合開始のゴングと同時に爆発した。

沖縄のジムから初の世界王者となった平仲

 パワーで王者を追い詰めた平仲がラッシュをすると、ロサリオはたちまちグロッギーに。主審がチャンピオンを救ったタイムは1分32秒。これは当時のJ・ウェルター級世界タイトルマッチの最短記録だった。

 海老原と平仲は初防衛戦で敗れ、浜田は2度目の防衛戦で王座陥落と、長期政権は築けなかったが、世界奪取のインパクトの強さで彼らの試合はボクシングファンの心に永遠に残ることになったのである。
=第2回は近日公開=

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