井岡一翔のS･フライ級2団体統一戦をメインとする「LIFETIME BOXING FIGHTS12」が31日、大田区総合体育館で行われた。セミのフェザー級8回戦は、アマチュア出身大物ルーキーの堤駿斗（志成）が前東洋太平洋S･バンタム級王者ペテ・アポリナル（フィリピン）に3-0判定勝ち。プロ2戦目を飾った。

◇フェザー級8回戦
堤駿斗（志成）［3-0（80-71×2、79-72）］ペテ・アポリナル（フィリピン）
　開始から堤は上体を使いながらプレスをかけ、シャープなストレートを上下に送る。アポリナルの左右フックをガードしながらすばやいリターン。カバーの隙にアポリナルのパンチが入るシーンもあるが、攻撃的なプレスをかけ続けた。

　4回、右アッパーでチャンスを手にした堤が猛攻。粘るアポリナルの左アッパーも痛烈だったが、ここを打ち返す堤は気が強い。6回は、ダブルの左フックでグラリとさせ、右ストレート打ち下ろしでダウンをマーク。この試合最大のKOチャンスだったが、堤も攻撃にはやるあまりミスブローを繰り返した。

　最後まで倒す気意欲満々のホープは、初KOはならなかったものの、時折上質なパンチを披露してフルラウンドを攻め抜いた。スコアは80-71が2者、79-72の大差3-0で堤の勝ち。

　堤は「効かせた後に慣れていない部分もあって大振りになってしまった。コンパクトにいけばTKOもあったと思うんですが」と反省。キャリアの積み上げを見据えつつ、プロ2年目は「何らかのタイトルを狙いたい」と語った。堤は2勝。前回、武居由樹（大橋）に王座を奪われた試合に続いて連敗のアポリナルは16勝10KO4敗。

◇56.5キロ8回戦
大湾硫斗（志成）［3-0（80-69×3）］ロビン・ラングレス（フィリピン）
　日本S･バンタム級7位の大湾は初回、慎重な立ち上がりながらラングレスの打ち終わりに鋭い左フックを打ち込み、ラングレスのヒザが一瞬砕けた。2回早々、今度はラングレスの右が決まり、大湾の体がグラリと触れた。さらに右を追撃され大湾はピンチだ。ここを切り抜けた大湾はラウンド終盤、右をカウンターで決めてダウンを奪った。

　3回以降、互いに強打を狙って間合いを計り、距離が近づくと激しくパンチを交換するスリリングな展開。4回、大湾がラングレスをコーナーに押し込み、左ボディを突き上げてダウンを奪うと、5回も大湾のボディ打ちからラングレスがもつれるように四つん這いになるとこれもダウンの裁定。大湾は6、7回、ボディ打ちから攻勢に出るが、ラングレスも思い切りリターンを打ち返してくるので気が抜けない。大湾は最後まで攻めたが、ラングレスのパンチも最後まで怖かった。大湾は10勝6KO1敗。ラングレスは11勝4KO5敗。

大湾の話「ぶっちゃけちょっとなめていたかもしれないのもあって8ラウンドにいくのは想像していなかった。自分の打ち終わり（のガード）があいているのが今回めっちゃ学べた。明日すぐ沖縄に帰ります」

◇S･フェザー級8回戦
渡邊海（ライオンズ）［TKO2回1分54秒］中井龍（角海老宝石）
　日本S･フェザー級10位のサウスポー中井と昨年の全日本フェザー級新人王で日本同級13位の渡邊の対戦。長身アウトボクサーの渡邊が距離を取り、ロングからジャブ、右ボディを打ち込んでいく。中井は距離を詰めようと踏み込んでいった。2回、中井がやや強引に距離を詰め、これを脚で交わした渡邊が体を入れ替えるように左フックを放つと、中井がキャンバスに崩れ落ちる。立ち上がろうとした中井がフラついてTKOとなった。渡邊は9勝5KO1分。中井は5勝2KO2敗1分。

◇女子S･フライ級8回戦
伊藤沙月（志成）［TKO4回1分57秒］ワーサナー・カムディー（タイ）
　元アマ全日本王者の伊藤がプロ2戦目。伊藤は2回にピッチを上げ、ジャブから右ストレート、左フックのコンビネーションでワーサナーに迫った。ワーサナーはよく手を出して粘ったが、ハンドスピードの速い伊藤はボディ打ちも交えてタイ人を追い込み、4回に右ストレートでダウンを奪った。再開後にラッシュしたところで主審が試合を止めた。伊藤は2勝1KO。ワーサナーは6勝5KO8敗。