19日夜、後楽園ホールの「DANGAN172」のセミで引退試合に臨んだ元日本S・バンタム級チャンピオンの福原力也(ワタナベ=38歳)が有終の美を飾った。58.5キロ契約6回戦でアルビン・バイス(比)に2回KO勝ち。起伏にとんだ42戦のプロ生活にピリオドを打った。
バイスは15勝4KO7敗1分。開始から福原はいつもの通り左ジャブを突きつつサークリング、時に右ストレート、左フックを強く振って出る。結末は早かった。2回に左ボディーを突き刺すと、バイスは苦悶の表情でダウン。そのまま10カウントを数えられた。KOタイムはこの回2分39秒。
千葉・市川出身の福原は2000年6月に初回TKO勝ちでプロ・デビュー。04年1月、雄二ゴメスをKOして注目され、翌年9月に木村章司の日本S・バンタム級王座に挑戦。テクニシャン木村に10回判定勝ちを収め、初挑戦でタイトル奪取に成功した。同級王座を失った後はOPBF、日本王座に計4度挑んだが王者カムバックはならず。2度の右腕骨折にもめげず、16年半の長きにわたってプロボクサーとして活躍した。生涯戦績は32勝24KO9敗1分。
試合後に引退式が執り行われ、福原は「勝ててよかった。中身の濃い16年、いろいろとありましたが、今日を迎えられたことは光栄です」とあいさつ。「ケガもありましたが(タイトルを失って)10年踏ん張ってやってこれたのも皆さんのおかげです。ボクシングですべて学びました」。今後はワタナベジムで手伝いをしながら、ゆくゆくは独立も視野にあるという。
◇ミニマム級8回戦
小浦翼(E&Jカシアス)[TKO2回2分44秒]ジェフリー・ガレロ(比)
日本10位の新鋭小浦が元世界ランカーのガレロにアタック。初回からハンドスピードを活かして攻め込んだ小浦は2回、相手の右で一瞬ヒヤリとしたものの、一度間を取るなど冷静。そして左ヒック、右のコンビネーションでガレロをダウン。即座に主審のストップがかかった。「超気持ちいいです」と小浦。印象的な勝利を収め、これで9勝6KO無敗。敗れたガレロは14勝7KO3敗。
◇56キロ契約8回戦
渡部大介(ワタナベ)[負傷判定5回1分28秒・3-0(50-45、49-45×2)]藤原陽介(ドリーム)
日本S・バンタム級4位(藤原)と5位(渡部)の対決。開始から自信満々で仕掛けたのは渡部(初回に藤原は偶然のバッティングで右目上を負傷)。2回、右ストレートで藤原の動きを止めると、右から返した左フックで最初のダウンをマーク。藤原も左ジャブで立て直そうとするが、渡部の勢いは止まらない。藤原の右目上負傷がもとで試合は5回途中でストップ。それまでの採点で渡部が勝利した。渡部は5勝3KO2敗。藤原は16勝4KO5敗。
◇バンタム級8回戦
清瀬天太(姫路木下)[TKO3回2分44秒]大塚隆太(鴻巣茂野)
左ジャブの差し合いでは大塚(日本S・フライ級10位)がやや優位だったが、体格優位の清瀬は臆せず左ジャブを突いてプレス。サークルしつつさばく大塚に徐々に余裕がなくなり、迎えた3回、清瀬が打ち込んだ右を浴びてもろくもダウン。主審がストップをかけた。OPBFバンタム級3位にランクされる清瀬は11勝4KO2敗1分。大塚は16勝6KO10敗2分。