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1927.9.22 デンプシーvs.タニーで歴史的事件発生

ボクシング今日は何の日 “ザ・ロングカウント” 
1927.9.22 デンプシーvs.タニーで歴史的事件発生

2020年9月22日 12時37分

 93年たったいまでも語り継がれる“ザ・ロングカウント・ファイト”が起きたのは1927年9月22日、アメリカはシカゴのスタジアム、ソルジャーズ・フィールドのリングだった。世界ヘビー級王者ジーン・タニーと前王者ジャック・デンプシーとの一戦である。

ジャック・デンプシー

 荒々しいファイトぶりから“マナッサの殺し屋”と恐れられたデンプシーはヘビー級王座を5度防衛。人気漫画『はじめの一歩』の読者なら“デンプシー・ロール”でお馴染みかもしれない。そのデンプシーからタイトルを奪ったのが技巧派のタニーだった。

 再戦を前にデンプシーは引退を考えていたとも伝えられるが、大物プロモーターのテクス・リカードは第1戦の興行収入が100万ドルを大きく超える大ヒットだったことからデンプシーを説得。第1戦からちょうど1年後に両雄のリマッチは実現した。

 試合は足を使うタニーがスタートから優勢。そして事件は7回に起きた。タニーに翻弄されていたデンプシーがついに王者をつかまえ、左フックをたたき込むとタニーがキャンバスに崩れ落ちたのだ。

 ここでデンプシーはニュートラルコーナーで試合再開まで待機しなければならなかったのだが、立ち上がったタニーをすぐに攻撃しようと主審の横で身構えた。これがロングカウントの引き金となった。

 ダウンを奪った選手はニュートラルコーナーへ―のルールができたのはこの数試合前のこと。主審のデイブ・バリーはカウント2まで数えて、デンプシーをニュートラルに行くよう指示し、あらためて1からカウントを再開した。タニーはこのあとカウント9で立ち上がったが、実際には14秒が経過。だからこの時点でデンプシーのKO勝ちではないか、という声が巻き起こったのである。

 このあとタニーは再び足を使い、8回にダウンも奪って判定勝ち。この一戦は「ザ・ロングカウント・ファイト」としてボクシング史にくっきりと刻まれることになった。

 それにしてもデンプシーの伝説は枚挙にいとまがない。タイトルを奪ったジェス・ウィラード戦は初回に7度のダウンを奪う猛攻(このときは前述のルールがなく、ダウンした選手が立ち上がった瞬間に攻撃できた)を見せ、3回終了で王座を獲得。凄惨な試合から「トレドの惨劇」と名付けられた。

 フランスの英雄“蘭の男”ジョルジュ・カルパンチェとのV3戦では、悪役に回りながら史上初となる興行収入100万ドルを達成した。5度目の防衛戦となったルイス・フィリポ戦では、ダウンを喫してリングサイドの記者席側に落下。慌てた記者がデンプシーをリングに押し戻し、気を取り直したデンプシーが2回KO勝ちして物議を醸した。

 ちなみにタニーvs.デンプシー2は200万ドルを超える興行収入を上げたと伝えられる。デンプシーはこの試合で現役を退き、1983年5月31日、87歳でその生涯を終えた。

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