April
22
Monday

ボクシングニュース | ボクシングビート編集部制作

share

15°C Rain
Tokyo

Boxing News(ボクシングニュース)

Home > recommend > 日本ライト級王者の仲里周磨 ロングインタビュー 4.9三代大訓との念願の雪辱戦に闘志

日本ライト級王者の仲里周磨 ロングインタビュー 4.9三代大訓との念願の雪辱戦に闘志

2024年3月26日 11時59分

 日本王者と最強挑戦者が激突するチャンピオンカーニバルの中でも最注目のカードがそろった。4月9日、東京・後楽園ホールで行われる「ダイヤモンドグローブ」はダブルタイトルマッチ。国内中量級屈指の戦いになる。

 強打を武器に躍進する王者・藤田炎村(三迫/29歳、12勝10KO1敗)の攻撃力か、リーチのあるサウスポーの挑戦者・李健太(帝拳/28歳、6勝2KO1分)の高いスキルか。対照的な2人による日本S・ライト級タイトルマッチ。一発のある王者・仲里周磨(オキナワ/27歳、14勝8KO2敗3分)の雪辱か、戦略に長けた挑戦者・三代大訓(横浜光/29歳、14勝4KO1敗1分)の覇権奪回か。6年半ぶりの再戦で両者が雌雄を決する日本ライト級タイトルマッチ。ともに緊迫感あふれる攻防に期待が高鳴る。

「この時がついに来た」――。前回対戦は劣勢の仲里が3回に倒すも、4回に三代が勝負強く倒し返す熱戦となった。判定で初黒星をなすりつけられた仲里には念願の再戦になる。力を出し切れず、「あの負けがずっと心残りだった」と明かす。「屈辱を晴らして、過去の自分を超えたい」と意気込む。

 昨年4月、全勝王者の宇津木秀(ワタナベ)を痛烈に倒し、3回KO勝ちでセンセーショナルに初戴冠。元東洋太平洋S・バンタム級王者の父・仲里繁会長以来、沖縄のジムに21年ぶりにタイトルをもたらした。12月に地元で凱旋防衛を果たし、これが2度目の防衛戦も「挑戦の気持ち」という仲里。「自分の持ち味は爆発力。ここという時に決められるパンチをどうハメていくかがカギ」と勝機をKOに見いだす。

「チャンピオンになって、自信もついて、全体的にスキルも上がった」と仲里。2月下旬から3月上旬までの3週間、父とともに首都圏で合宿を敢行した。帝拳ジム、三迫ジム、角海老宝石ジム、M.Tジムで精力的にスパーリングを重ね、準備は万全。前回は6ラウンドの短期決戦。10ラウンドの戦いとなる今回はどうなるか。《取材協力 角海老宝石ジム・取材/構成 船橋真二郎》

仲里周磨

■「必ずいつかやり返す」と誓った因縁の相手

――仲里選手にとって、次の三代選手は特別な相手になりますか。

仲里 そうですね。あの負けがずっと心残りだったんですよね。出し切った感じではなかったんで。まあ、出せなかった自分もいましたし、出させてくれなかった相手の巧さもあったんですけど。

――防衛戦とか、関係ないのでは?

仲里 そうですね。はい。ずっと心に引っかかっていて、昔から必ずいつかやり返すと言ってきたんで。やっと、この時がついに来た、という感じなんで。嬉しいですよ。

――「出せなかった自分がいた」ということですが、あの時は右拳の負傷明けの復帰2戦目で、長期ブランク(1年半)で崩れてしまった感覚がまだ戻っていなかったということでしたよね。

仲里 ああ、そうですね。それもありましたね。

――そういう心残りも。

仲里 で、あの後、三代選手は東洋チャンピオンになったり、どんどん上に駆け上がっていったじゃないですか。分岐点の試合というか……。

――あれがA級トーナメントの準決勝で、三代選手は次の決勝で正木脩也(帝拳=引退)選手に勝って日本ランク上位に上がって。その次の試合で東洋太平洋王者になるんでしたね。

仲里 はい。あれは結構、自分的にはきつかったですね。

――思い出すのが、メインで三代選手が東洋太平洋王者になった、今は閉鎖になったディファ有明のアンダーカードに仲里選手も出ていて。

仲里 ああ、そうですね(苦笑)。

――ベルゲル・プトン(比)と1ラウンド負傷引き分けに終わった。あの時は形容しがたい気持ちだったと思います。

仲里 そうですね。あの時もまだ自分のボクシングの感覚が狂ってましたね。

――メインは会場に残って、見ていたんですか。

仲里 見てました。三代選手が勝つだろうなと思ってたんですけど。まあ、嬉しくはないというか……。

――複雑ですよね。

仲里 素直には見れないですよね(苦笑)。

――そういう因縁も含めて、ずっと気になる存在で。やり返したかったのが、ついに来たと。

仲里 そうですね。まさか立場が逆転した状態で来るとは思わなかったですけど。ここで屈辱を晴らして、過去の自分を超えたいというのはあります。

2017年10月の試合から。仲里は三代からダウンを奪った

■6年前とは違う

――6年前はリングサイドで見ていたんですけど、あらためて映像を見返すとイメージより三代選手が出てきたというか、仕掛けてきましたよね。

仲里 そうでしたね。でも、その中でも空間支配が巧いというか、誘い出すのが巧いんですよね。わざと誘い込んで、相手をハメていってるところはあると思います。今回、(昨年、三代に挑戦者決定戦で判定負けした)帝拳ジムの浦川(大将)選手ともスパーリングをしたんですけど、こう来たら、こうするとか、チェスをしているみたいな感じで、どんどんハメられていくんで、先が見えなかったと言ってました。

――浦川選手が?

仲里 はい。確かにそんな感じだったなって。思い出しましたね。あの時の感覚を。

――ペースとしては最初から三代選手が握って。

仲里 そうですね。全体的な流れは向こうが取ってましたね。

――その中で3回に仲里選手が倒して。あの右はがっつり入ったのでは?

仲里 結構、入ってましたよね。でも、あの時は、ボクシングも、自分も、歯車が合ってない状態で、自分の中では「もう、どうしようもないから、倒すしかない」みたいな感じで手を出してたんですけど。

――その次のラウンドに倒し返されて。

仲里 そうですね。やっぱり、出し切れなかったですね。

――6年前の自分と今の自分。どこが違うところですか。

仲里 全体的に違うと思いますけど。そうですね。チャンピオンになって、自信もついて、全体的にスキルも上がったし。精神的にも落ち着きが出てきたかなと思います。

――歯車が合っていなかったボクシングにしても、自分のスタイルはこれ、と今はしっくりきて。

仲里 はい。高校を卒業して、アマチュアからすぐプロデビューしたので、最初はもう少しキレイなボクシングをしてたと思いますけど。今はプロらしいボクシングになってると思います。いろいろ揉まれてきたんで(笑い)。

――接近戦が最近のキーになっていると前に話していましたよね。

仲里 そこが最初の頃は全然できなかったんで。それを言ったら、三代選手も接近戦ができるようになってますよね。最近の試合を見たら。

――そこが6年前の三代選手と違うと見ているところですか?

仲里 そうですね。結構、攻撃的になってきてると思うんで。そう来たら、いい試合ができそうだなと思いますけど(笑い)。

――立場が逆転したということでしたが、三代選手が韓国で負けた11日後に仲里選手が日本王者になって、昨年4月で立場が入れ替わる形になりました。三代選手は這い上がらないといけない立場になって、より強い気持ちで臨んでくるでしょうからね。

仲里 そうですね……。でも、そこ(攻撃的に来るか)はリングに上がってみないと分からないです。三代選手、研究家じゃないですか。しっかり入念に練ってくると思うんで。

――そういう意味では一度、戦っている分、戦略を練りやすいところもあるし、日本人同士はさまざまな面から分析もしやすいですよね。

仲里 そうなんですよね。記事とかで見て、三代選手本人は「くすぶってる」と言ってるみたいなんですけど。確かに韓国では負けましたけど、まだ日本人相手には負けてないですからね。

父の繁会長と技術チェック

■スキあらば倒すスタイル

――6年前は6ラウンド、今回は10ラウンドの戦いになります。

仲里 もちろん、フルに(フルラウンド)戦うことも考えてるんですけど、ポイント勝ちしようみたいなのはなくて。スキあらば倒そうっていうスタイルなんで(笑い)。

――何が勝つためのカギになると考えていますか。

仲里 やっぱり、自分の持ち味は爆発力だと思ってるんで。ここという時に決められるパンチをどうハメていくかがカギになるんじゃないですかね。

――確かに宇津木戦はもちろんですが、引き分けた木村吉光(志成)戦、判定で競り勝った保田(克也=大橋)戦もダウンを奪っているし、タイトル初挑戦で敗れた吉野修一郎(三迫)戦でも序盤に効かせたところがあって。仲里選手の試合でそういう(爆発的な)シーンは頭に浮かびます。

仲里 どんな展開になるにせよ、最終的には攻めていくしかないと考えてるんで、必然的に生まれると思います。まあ、この階級なんで、当たれば倒れるじゃないですか(笑い)。

――そこに対する自信も増してきているのでは?

仲里 まあ、前回(沖縄で村上雄大=角海老宝石を判定で下した初防衛戦)はやりにくいのが味のサウスポーで、ちょっと苦戦しましたけど。自分の中で勢いに乗ってるところもあるし。三代選手も巧くて、やりにくいんですけど、右なんで。まだ噛み合うかなと思ってます。

――どうハメていくか。

仲里 そうですね。三代選手、日本人らしいというか、キレイなボクシング(をする相手)は得意だと思うんですよね。韓国で負けたジュン・ミンホ選手はあまり上手じゃなくて、荒っぽいボクシングで。それが逆にやりにくくて、ハマったかなと思うんで。まあ、どう勝負していくか、研究してます。

――そこを会長と詰めて。

仲里 はい。戦い方とか、いろいろ作戦を練って、それをスパーで出して、試合につながるスパーができてると思います。

角海老宝石ジムでスパーリングをする仲里

■誰かの記憶に残る試合を

――今のライト級は国内の層も厚くて。

仲里 ヤバいですよね(笑い)。

――1月に鈴木雅弘(角海老宝石)選手が東洋太平洋王者になって、仲里選手は現WBOアジアパシフィック王者の保田選手、12月に再起した前日本王者の宇津木選手、2人に勝っていますけど、その中で三代選手に勝つことの意義をどう考えていますか。

仲里 デカいですよね。結構な自信がつくと思うし、今、世界ランキングも(WBC)11位になって、この試合に勝てば、一桁台に入るかもしれないんで。

――国内の評価としても一歩抜けられる。

仲里 そういう意味でも大事な試合だと思ってます。

――昨年の夏には初めて米国合宿(ロサンゼルス)に行って、S・ライト級の世界戦経験者(3度)のホセ・セペダ(メキシコ)とバチバチのスパーリングをしたと(笑い)。

仲里 はい(笑い)。いい経験になりましたね。日本人にはいないというか、みんな、戦い方が特徴的で、いろんなボクサーがいたんで。勉強になりました。

――そういう経験もして、その先も視野に入れているということですよね。

仲里 ライト級はスーパースターぞろいですけどね(笑い)。でも、やるやつはやるというか、どの時代でも獲るやつは獲ると思うんで。運とかタイミングも味方につけて、世界チャンピオンになりたいですけどね。まあ、この試合に勝ったら、自信を持って言ってもいいのかなと思います。

――今回、吉野選手ともスパーリングをしたんですよね。

仲里 あ、そうですね。めっちゃパンチがありました。体重が結構あったと思います(笑い)。

――仲里選手が負けた、もうひとりの相手ですけど、吉野選手が復帰したら、やりたいという気持ちはありますか。

仲里 やれるならやりたいですけどね。日本のライト級では頭ひとつ抜けていると思うんで。その立ち位置に自分が行って、戦うことがあったら。でも、めちゃくちゃやりたいかと言われたら、そうではないというか(笑い)。あの吉野さんとの試合は自分の中で出し切れたんで。わりと負けたあともすっきりしてたんですよ。そこが三代選手とは違うというか。

――世界につながる試合なら、という感じですか。

仲里 そうですね。でも、吉野さんを見て、勝ち続けて行けば、あのへんの舞台まで行けるんだなと思いましたけどね。もっと世界とは離れてるのかなと思ってたんですけど。

――そういえば、軽量級とまた状況は違うかもしれないですけど、岡山のジムのユーリ阿久井政悟(倉敷守安)選手も試合のたびに出稽古に来て。やり方によっては地方でも世界チャンピオンになれることを伝えられたんじゃないか、とコメントしていました。感じるところはありましたか。

仲里 そうですね。しかもユーリ選手、新人王の同期なんですよ(2015年)。それで多少、交流もあって。嬉しかったですね。

――年齢もひとつ違いですよね。

仲里 はい。ユーリ選手も日本チャンピオンになってからじゃないですか。どんどん勝ち続けて、レベルが高くなって、上に上がっていきましたよね。

――勝ち続けることに尽きると。

仲里 ボクシングはそうですよね。目の前の試合に勝つ。これに勝ったら、次はどうとか、昔はあったんですけど、先のことを考えてもしょうがないんで。結果というか、試合がすべてじゃないですか。

――とにかく目の前の試合に集中して。

仲里 はい。最近はやってきたことを出し切ればいいっていう考えなんですよ。出し切れば、結果はついてくると思ってるんで。それだけを考えてますね。まあ、三代選手には過去の負けがあるんで、自分の中では防衛という感じではなく、挑戦という気持ちなんで。過去の自分に決着をつけたいですね。

――注目の試合で楽しみにしている方も多いと思います。どんなところを見てもらいたいですか。

仲里 最後は意地の張り合いになると思うんですよ。そういう熱い気持ちのぶつかり合いを見せたいですよね。もちろん、技術とかもそうなんですけど、みんなが何を見たいかと言ったら、一番は気持ちだと思うんで。誰かの記憶に残るような試合をしたいです。

Related article
関連記事